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スター芸術家の意外と平凡な私生活

Posted April. 08, 2017 08:37,   

Updated April. 08, 2017 08:39

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著者カルヴィン・トムキンズは、「作品は作品だけで見てほしい」という言葉に首を横に振る。トムキンズは雑誌「ニューヨーカー」に40年余りの間コラムを書いてきた美術評論家だ。序文でこのように宣言する。「同時代のアーティストの生活は、彼らが作り出すことに必須の要素なので、この2つは分けて考えることができない」。

ダミアン・ハースト、シンディ・シャーマン、ジェフ・クーンズなど美術界に大きな衝撃を投じたアーティストの内密な人間的な面を覗いてみる楽しみがある。例えば、ダミアン・ハーストは企画力が優れ、一時、画像やキュレーターとしての将来が期待されたが、作品の値段が1000億ウォン以上のスターアーティストになった。彼は、酒をチャンポンして飲み、パーティー好きだが、同時に家族を大切に考える人でもある。

シンディ・シャーマンは、自分をモデルに写真を撮ることで有名だが、トムキンズによると、シャーマンは実は注目されるのをプレッシャーに感じるシャイな性格の持ち主だ。研究論文も多いこの女性アーティストが、膝を抱えてホラー映画「スクリーム3」を見る場面は奇妙に感じられる。

正規の美術教育を受けたことはないが、初めに観客の笑いを誘い、次に社会的な意味を考えさせる作品をつくるマウリツィオ・カテラン。イタリアのポルノ女優、チチョリーナとの結婚と離婚の後、息子をめぐる激しい養育権争いをしたジェフ・クーンズなど著者が見せたアーティストたちの生活は「人間的」だ。彼らの姿は作品を色あせさせることなく個性を付加する。

美術に関する本だが、絵がないのも特徴だ。詩人であり批評家のウィリアム・コベットは、「読者は自分の記憶とトムキンズの飾らない一級の描写力に判断を下さなければならない」と書いた。



金志映 kimjy@donga.com