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「私のための世界はどこに」難民少年の叫び

「私のための世界はどこに」難民少年の叫び

Posted January. 14, 2019 08:33,   

Updated January. 14, 2019 08:33

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イエスは、悔い改めないカペナウムの人々に滅亡を予言し、7世紀にペルシャ帝国から侵略を受けたこのイスラエルの都市は廃墟となった。24日に公開される映画「カペナウム」の監督ナディーン・ラバキーは、難民の悲惨な生活が続くレバノンのベイルートで、荒廃の都市カペナウムを思い出した。

映画は、少年・ザインが法廷に出るシーンから始まる。とある男性をナイフで刺して収監された少年は、両親を訴えるために再び法廷に立った。告訴の理由を尋ねる判事に、「私を産んだからだ」と答える。親に対し軽蔑に満ちた目つきを送りながら、「お腹の子供も私のようになるだろう」と罵る。映画は、「怪物」になった子供の人生を、揺れる視線で追っていく。

ベイルートは、非常識が常識になった都市だ。親たちの大半は子供を産んで出生届をしない。ザインも12歳と推定されるだけだ。男の子は裏通りで物乞いをしながら麻薬やタバコを学び、女の子たちは生理が始まると、花嫁として売られる。学校に行く時間に路上でフルーツジュースを売ってきたザインは、自分の意志とは関係なく、あまりにも早く物心がついた。

カメラは、一抹の希望すら残っていないザインの生存闘争を淡々と描き出す。11歳の妹サハルが売れるように嫁ぐと、ザインは親を恨んで家出をする。ママを無くしたエチオピア難民の赤ちゃんヨナスのために、彼は牛乳を盗み、氷に砂糖をふりかけて食べさせる。ザインに向けられた大人の視線は、同情それ以上でも、以下でもない。難民の身分として他国への脱出を夢見るが、父は「書類のない生活を認めるか、窓から飛び降りろ」と言うだけだ。

映画と現実の境界があいまいな点でも、「カペナウム」が与える衝撃は少なくない。ザイン役のZain Al Rafeeaはシリアで生まれたが、内戦でベイルートに定着し、ラバキ-監督に出会った。赤ちゃんヨナスの母親ラヒル役で出演したヨルダノース・シぺラウスは、不法滞在者として逮捕されるシーンを撮影したその翌日、実際当局に逮捕された。撮影期間の6ヶ月間、難民の「生のまま」の人生を収めるために、監督は 「アクション」という言葉すら口にしなかったという。

本来カペナウムは、イエスの奇跡に満ちた祝福の都市だった。映画の末尾に、身分証を作るザインの顔に笑みが広がる。彼はただ大人に「尊重され、愛される」ことを望んだ。産むことを越えて「生きていけるようにしなさい」という大人たちに向けた厳重な警告に胸が詰まる。2018年カンヌ映画祭審査員賞受賞作。15歳観覧可。★★★★(5つ星のうち)


申圭鎭 newjin@donga.com