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2019東亜新春文芸、260倍の競争率を勝ち抜いた栄誉の9人

2019東亜新春文芸、260倍の競争率を勝ち抜いた栄誉の9人

Posted January. 01, 2019 08:14,   

Updated January. 01, 2019 08:14

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涙が先に出てきた。チャン・ヒウォン氏(25・短編小説)は、大邱(テグ)にいる祖母の誕生日を祝うために家族が集まった席で、当選の知らせを聞いた。携帯電話を手に持ったまま泣いているチャン氏のそばで、祖母は理由も分からないまま一緒に泣いた。しばらくして、チャン氏の涙が喜びの涙であることに気づいた祖母は、感激のあまり、チャン氏に向かって両手を挙げて何度もお辞儀をした。チャン氏は、「おばあちゃんに捧げる最高の誕生日プレゼントではないかと思う」と微笑んだ。

2019年の東亜(トンア)日報の新春文芸応募者は、前年より85人増えた2345人。このうち9人が当選の喜びを味わった。昨年12月26日、ソウル鍾路区(チョンノグ)にある東亜メディアセンターに集まった彼らは、「喜びの重みほど肩も重い」と口をそろえた。

小学生の二人の息子の母親であるミン・ギョンへ氏(40・童話)は、子供の担任の先生や他の保護者たちと一緒にブックトーク会で当選の知らせを聞いた。手がぶるぶる震えて家にすぐに入ることができなかった。この夢のような状況は嘘ではないか、壊れてしまうのではないかという気がして、近所を何周も回った。

「気持ちが落ち着いて家に入って鏡を見たら、冷たい風で顔が真っ赤になっていました。ところが、表情だけは『へへ』と笑っていましたね」(ミン・ギョンへ氏)

ミン氏は数年前から公募展に片っ端から応募したが、そのつど落ちて落胆するのが常であった。そのたびに8歳の末息子が直接紙の賞状を作り、賞金として600ウォンを渡した。彼女は、「息子たちから『ママの童話が一番面白い』と慰められて、ここまで持ちこたえることができた」と笑った。

チェ・サンウン氏(34・戯曲)は、近所の図書館で米小説家トマス・ピンチョンの本を読んでいたところ、当選の知らせを聞いた。電話に出るために席を立って廊下を歩いていく15秒余りの時間の間、「もしかしたら、私の作品が間違っていて責任を問う電話ではないか」という心配をはじめ、様々な気がしたという。しかし、電話に出てからは、床を掻きながら自分への恥かしさで身震いしていた過去の日々が走馬灯のようにかすめた。チェ氏は、「実際に当選したという知らせを聞くと、呆然として言葉がまともに出なかった」と話した。光州(クァンジュ)女子商業高校で国語を教えているカン・デソン氏(48・時調)は、「胸が張り裂けそうな喜びを感じた」とし、「運動場に向かって『イヤッ』と声を上げたい気持ちだった」と語った。

シナリオ部門で当選したコ・ジエ氏(31)は、読書室の総務として働きながら残る時間に文を書いた。「周りから『お金を稼げ』と言われるなど、あらゆる小言を言われたが、しっかりと耐えてきた。当選のニュースを聞くやいなや、一番最初に『私受かったの!羨ましいでしょう!」と自慢しましたよ」(コ・ジエ氏)

数年間文学評論の準備をしてきたパク・ダソム氏(29)は、いつになるか分からない当選のために疲れたときは、当選感想文を事前に書いて見ながら自分自身を引き締めた。

「落ちると、慰めてもらうことも心配になって、投稿したことを夫にも知らせなかったので、なおさら大変でした。『当選の感想を書いた文をいつかは必ず世の中に出さなければ」という気持ちで、一人で漠然とした気持ちに耐えてきました」(パク・ダソム氏)

当選者たちは、物足りない文が世に出たような気がして恥ずかしいとも打ち明けた。ソウル芸大文芸創作学科に在学中のソン・ヘナ氏(24・中編小説)は、「とても重いスタートだという気がして怖かったりもしました。まだ同期たちにも知らせていない」と話した。キム・チェヒ氏(29・映画評論)も「自分ならではの視点を持つことがいかに難しいかを切々と実感し、挫折したことが多かった。今後も一所懸命に書いて学びたい」と語った。国文学を専攻したが、なかなか就職できず、コンピュータプログラミング塾に登録したというチェ・インホ氏(31・詩)は、「振り返ってみると、一所懸命に生きる時より、適当に時間を過ごしたときのほうが、より文が書きやすかった。何か満足すればペンが止まるのではないか怖い。当選後も、体に力が入らないように、いつも自分を空にしたい」と語った。9歳の時から作家になるのが夢だったというチャン・ヒウォン氏は、毎日一文以上を書くことを目標とし、文を書くこと自体が習慣になるように努力してきた。チャン氏は、「『これからもこの姿勢を着実に保っていきたい』、これ一つだけを考えたい」と話した。

当選作は、新年最初の紙面と東亜ドットコムの新春文芸サイト(www.donga.com/docs/sinchoon)で会うことができる。今第一歩を踏み出した彼らは、これからどんな作家になりたいのだろうか。

「ユリシーズは、ファンが自分の手にキスをしないように引き止めながら、『その手で恥ずかしいことをたくさんやってきた』と告白しました。私も物足りない人間であることを認め、これから来るすべてのことに臨みたいと思います」(チェ・インホ氏)

「自分の子だけでなく、より多くの子供の感受性に触れる童話を書きたいと思います」(ミン・ギョンへ氏)

「むやみに前提したり考えず、簡単に判断しない態度を持った作家になりたいと思います」


趙允卿 yunique@donga.com