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法王と皇帝を牛耳る…絶対権力を持った資本の誕生

法王と皇帝を牛耳る…絶対権力を持った資本の誕生

Posted December. 29, 2018 08:42,   

Updated December. 29, 2018 08:42

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米ケネディ大統領の暗殺事件、ニクソンのウォーターゲート、ベトナム戦争まで…。1994年に公開されたハリウッド映画「フォレスト・ガンプ」は、知能指数(IQ)が75に過ぎない主人公トム・ハンクス(ガンプ役)が現代史の主要な場面に登場して流れを変えるという興味深い素材の映画だ。もちろん100%フィクションの物語だ。

ハプスブルク家の浮上、カトリック教会の貸金業禁止の撤廃、免罪符の販売と宗教改革、複式簿記の伝播など、15~16世紀の中世欧州の流れを完全に変えたこのような出来事に共通した人が登場するならどうだろうか。映画ではなく、実在した歴史だ。まさにこの本の主人公であるヤーコプ・フッガー(1459~1525)である。

フッガーは、ドイツでは史上最高のビジネスマンとされるが、韓国はもちろん、現代資本主義の先頭走者である米国でさえ不慣れな人物とされた。この本は、米紙ウォールストリート・ジャーナルの欧州支社に記者として勤務した著者が、2015年、英語圏に本格的にフッガーを紹介したものである。

1525年、フッガーがこの世を去ったとき、彼の財産は、欧州内総生産の2%に迫るほどだった。しかし、最初から金の匙としてスタートしたわけではなかった。ドイツ・アウクスブルク地域の平民の家で7人兄弟の末っ子として生まれたフッガーが受け継いだのは、小さな規模の生地の売買だった。彼は新しい方式の収益モデルを構想する。投資に近い債券方式の融資だった。

当時、オーストリアのシュバーツに位置した銀鉱山は、欧州最大規模を誇った。贅沢な生活で有名なジギスムント大公がこの地域を統治していたが、フッガーは彼に巨額を貸し、その代わりにシュバーツのすべての収入を持つ条件を掲げた。同様の方法で、当時オスマンテュルクの侵攻が頻繁だったハンガリーの銅鉱山の採掘権を独占していった。銅は、当時の戦争の主要な武器である大砲と小銃の主原料だったため、フッガーは莫大な富を築くことができた。

巨富に成長したフッガーは、カトリック教会と歴史的な交渉に乗り出す。当時まで、高利貸しを罪悪視した教会の方針を変えることにしたのだ。このため、以前から後援してきた若い神学者たちを通して理論的背景を作り、司教、法王などの教会最高位層にためらわずにロビーまで行った。結局、法王レオ10世は、利子の正当性を認める勅令に署名した。金融が宗教の束縛から抜け出し、現代銀行の制度的基盤が造成されたのだ。

フッガーは当時、欧州の政治まで牛耳った。1523年、神聖ローマ帝国の皇帝カール5世に対し、「小臣がいなかったら、陛下は皇帝の冠をかぶることができなかったかもしれません。お貸ししたお金は利子まで計算して、遅滞なく返済するように命じてください」という督促状を送ることもした。当時の皇帝は選挙で選ばれたが、カール5世が莫大な選挙費用をフッガーから借りたためだった。

本は史上初めて、資本が政治や宗教の影響力を圧倒し始めた15~16世紀の欧州を、フッガーという一人の資本家を通じて映している。優れた文の才能に豊富な史料分析まで加わわり、1本の映画を見るようなエキサイティングな体験を提供する本である。




柳原模 onemore@donga.com