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巨匠「メータ」と天才「エフゲニー」との出会い

巨匠「メータ」と天才「エフゲニー」との出会い

Posted December. 04, 2018 07:57,   

Updated December. 04, 2018 07:57

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先月30日、ソウル瑞草区(ソチョグ)の芸術の殿堂のコンサートホールで開かれたドイツ・バイエルン放送交響楽団(BRSO)の公演。感興が消えてしまうのがもったいなくて、ぎゅうぎゅうと押し込もうとしていたところ、爆竹の音と共に舞台に金の雨が降った。BRSOが準備したサプライズイベントだった。観客と団員からともに笑いが起きた。祭りのようなこの日の公演のハイライトだった。

名将マリス・ヤンソンス(75)、天才ピアニスト・エフゲニー・キーシンが共に舞台に立つこの日の公演は、断然今年のハイライトだった。公演の1ヶ月前に健康悪化でヤンソンスの代わりにズービン・メータ(82)が指揮をとるという便りが聞こえた。インド出身で60年間、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、イスラエルフィルハーモニーを経た巨匠である。

ところが、メ-タも杖をついて登場した。支えを受けてかろうじて歩を運んで、椅子に身を置いた。舞台の外では車椅子に乗るほど衰弱していたが、不要な関心を懸念して、あらかじめ知らせなかったという。粛然としていてざわめきだった客席は、すぐに演奏に没頭した

リストのピアノ協奏曲第1番に向けたメータの指揮棒は、強力でありながら鋭く、団員たちは別に、また一緒に幽霊のような技量を披露した。エフゲニーは、オーケストラに一人で立ち向かった剣客ように、独歩的な音色を披露した。

この曲は、リストが悪魔のバイオリニストと呼ばれたパガニーニの演奏に匹敵するピアノ奏法を込めたと知られている。団員二、三人がアンサンブル演奏をするような、BRSOの楽しい演奏姿勢も印象的だった。「気前のよいアンコール」で有名なエフゲニーは同日、メータに配慮してか、チャイコフスキーの瞑想曲Op.725番をはじめ、2曲をプレゼントした。

2部の演奏曲であるリヒャルト・シュトラウスの英雄の生涯は、なおさら胸にジーンときた。シュトラウスの音楽的自叙伝として知られているこの曲は、老将であるメータの生涯と重なった。豪気に燃え上がったが、苦難や闘争、愛を経て安息する旋律が暖かく舞台を包み込んだ。


李雪 snow@donga.com