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「3曲だけを引き受けたと思ったが…OST23曲を全部演奏」

「3曲だけを引き受けたと思ったが…OST23曲を全部演奏」

Posted September. 15, 2018 08:33,   

Updated September. 15, 2018 08:33

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世界のクラシック音楽界で注目を集める新鋭ヴァイオリニスト、エスター・ユー(24)が最近、韓国を訪れて特別な行事を行った。彼女は4歳でバイオリンを始め、8歳で協奏曲デビュー公演を行った神童だった。2010年にシベリウス国際バイオリンコンクールで3位、2012年にエリザベート王妃国際音楽コンクーで4位につき、世界の音楽界から注目を集めた。すべて最年少入賞だった。2014年から2016年までの3年間、英BBCが選んだ「ニュージェネレーションアーティスト」に、韓国系演奏者としては初めて名を載せた。現在はロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の最初の常駐音楽家として活動している。

ベルギーに在住しながら演奏活動で忙しい彼女が訪韓した理由は、今月20日に公開予定の映画「追想(On Chesil beach)」のOST演奏を引き受けたからだ。この映画は2001年に公開され、興行と批評で大きな成功を収めた「つぐない」の作家イアン・マキューアンの同名小説を映画化した作品である。結婚式の当日、別れを選んだカップルがお互いに知らなかった愛の秘密を解いていくロマンス物である。原作者のマキューアンが直接脚色を手がけ、米アカデミー主演女優賞候補に2度もノミネートされたシアーシャ・ローナンが主演として出演して話題になっている。

エスターは、自分のストラディバリウス(1706年に制作された名器)で映画の中の人物たちの喜びと悲しみ、哀傷と哀憐などのさまざまな感情を、様々な音と感じの演奏で繊細に伝えている。作曲家は、音楽監督として参加したダン・ジョーンズ(68・英国)。オックスフォード大学出身で、コンピュータ活用音楽の先駆者の一人である。

エスターは、映画音楽制作に参加した経験について、「子供の頃から映画が好きで、映画音楽に参加したいという夢を持っていたので、一緒にすることにしたが、簡単ではなかった」と話した。演奏者は、自分の解釈に基づいて演奏するが、映画はヒロインの心理と映画監督や音楽監督の考えや感情を具現する過程だったからだ。しかし、このような過程を通じて、「コラボレーションはとても楽しく、演奏活動にも大きく役立つ多くのことを学んだ」と付け加えた。

彼女は当初、3曲だけを録音すると思って参加したが、OST23曲をすべて演奏した。これについて音楽監督のジョーンズは「優れた実力に評判の高いロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の若い常駐演奏者なので、最初から全曲を任せるつもりだった」と明らかにした。続いて「時間的余裕がなく、録音を二日間で終えた」とし、「この過程でエスターは信じられないほどの情熱を見せて、私たちを驚かせた」と語った。これに対してエスターは、「録音前に準備する過程で、一週間も食事もろくにせず、夜を明かしながら楽譜を分析した」とし、「このような経験は初めてだったが、遂げた後は不可能なことはないことに気づいた」と笑った。

映画の完成本を8回も見たという彼女は、結果に非常に満足していた。「映画のプロモーションをしながら出会った俳優たちから、映画の中で音楽はとても重要なのに、非常によく生かしてくれたと言われました。音楽について非常に豊富な知識を持っている作家のマキューアンも、OSTについて大変気に入ってもらえたそうです」。二人のコラボレーションで誕生した音楽は、アルバム(DECCAラベル)として出た。

米国で生まれて欧州で育った彼女は、「新しい経験を楽しんでいる。音楽もクラシック音楽に加えて、多様なレパートリーを演奏してみたい」と話した。様々なジャンルで韓国の観客にもっと近づきたいという意味に聞こえた。


チョ・ソンハ専門記者 summer@donga.com