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「最上の音ための最適な空間、魔法が必要」

「最上の音ための最適な空間、魔法が必要」

Posted May. 11, 2018 08:36,   

Updated May. 11, 2018 08:36

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「パノラマのように伸びた音を望みますか、自分の部屋で聞くようなこぢんまりした音を望みますか」

今年4月、京畿道富川市(キョンギド・ブチョンシ)の富川フィルハーモニーオーケストラの事務所。 パク・ヨンミン常任指揮者と世界的な音響設計者の中島タテオさん(47)が膝を突き合わせた。富川フィルハーモニー専用ホールの設計を担う中島さんが富川フィル側の要求事項を聞く席だった。

音楽家の抽象的な要求に設計者が技術的に応えることは普通だが、この日は違った。パク氏は、「オーケストラの色を把握するために執拗に音楽関連の質問を投げかける姿が印象的だった」と話した。

中島さんは最近、最も注目される音響設計者だ。この分野の巨匠、ラッセル・ジョンソン(2007年死去)の後継者で、世界的な公演会場を多く設計した英アラップ(Arup)社の音響・舞台デザインチームを率いている。ポーランド・ヴロツワフの「国立音楽フォーラム」、デンマーク・オルボルの「北ユトランド・ハウス・オブ・ミュージック」などが彼の作品。2021年に完工予定の富川フィル専用ホールの音響設計を引き受けた彼を、8日午前、ソウル江南区(カンナムク)のアラップ韓国支社の事務所で画像を通じてインタビューした。

「美的基準が異なるように公演会場もそれぞれ音(tone)と特性(identity)があります。公演会場が追求する音を理解するために設計前にクライアントと十分に話をします」

 

空間の規模、湿度、温度、壁面と底の材質・・・。音響設計は数十の変数を調整して望む音色を探し出す旅程だ。客席と形態を決め、吸音と反射を考慮し、材料を選び、残響などを考慮して精巧に設計を整える。彼は、「膨大なデータベースと最新の技術に基づいて設計しても結果はいつも予想と異なる」とし、「これが音響設計の魔法」と話した。

中島さんは音楽徒だった。カナダのトロント王立音楽院を卒業した後、ドイツ、日本、オランダなどでヴァオリニスト、指揮者として活動した。演奏や舞台関連の仕事をし、音響設計に進路を変える人は少なくないが、指揮者出身は珍しい。彼は「舞台で音楽が生まれる過程を経験したことが大いに役立つ。今でも時々設計した舞台で指揮をし、設計がどのように具現されたか確認する」と話した。

この分野に関心を持つようになったのは、99年に世界的音響会社アルテック(13年にアラップに合併)の創立者、ラッセル・ジョンソンに出会ってから。指揮者である彼にラッセルは、「公演会場の音は演奏者、楽器、観客、空間が交わって作られる」と話し、中島さんは空間と交感して音楽を作ることに魅了され、アルテックに入社した。レコード、デジタル、映像などクラシックと会う方法が多彩な時代、公演会場はどのような競争力を備えなければならないのか。

「公演会場は雄壮さ、躍動感、温みなど単なる音以上を経験する空間です。私の指先で誕生した公演会場がその地域のアイデンティティをよく表現することを願います。公演会場を訪れた人が自然にその地域の情緒に溶け込み、そこだけの音を感じられるように」


李雪 snow@donga.com