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「歌ごとに映画の感じ…その後ろにコッポラ監督がいるんですよ」

「歌ごとに映画の感じ…その後ろにコッポラ監督がいるんですよ」

Posted May. 09, 2018 08:53,   

Updated May. 09, 2018 08:53

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「みんな来てみたいとは思っているが、住み着きたいと思うほど面白いところではありません。だから、私たちも法定成年である18歳になるやいなや、パリに逃げ出して音楽を始めました」(ローラン・ブランコウィッツ・ギター・鍵盤)

欧州で最も有名な宮殿のあるフランスのベルサイユ。そこの出身者である4人の若者たちはいつも、「田舎ではない大都市に、さらに遠い世界に進む夢を見た」と話した。

フランスの世界的ロックバンド「フェニックス」のメンバーたち。最近、彼らとソウルで会った。

フェニックスの2013年のヒット曲「Entertainment」のプロモーションビデオには、袞竜の御衣とマスゲーム、ヤクザのキャラクターが出てくる。南北文化をパロディにした映像。昨年のアルバム「Ti Amo」(イタリア語で「愛してる」)には、また1980年代のイタリアへの献呈と風刺を込めて話題となった。

作品ごとに映画のように雰囲気を変える才能を持つフェニックスは、ロックバンドとはいえ、映画とのかかわりが深い。ボーカル、トーマス・ マーズは「ゴッドファーザー」で有名なフランシス・フォード・コッポラ監督の娘であるソフィア・コッポラ監督の夫。コッポラは、映画「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年)にフェニックスの音楽を使ったのに続き、昨年「The Beguiled/ビガイルド欲望のめざめ」では最初からフェニックスに背景音楽の制作を任せた。ロックバンドに映画スコア作業を一任することは異例のことである。

デック・ダーシー (ベースギター・キーボード)は、「雰囲気を重視した、夢見るような音を作ろうと努力した」と話した。ブランコウィッツは、「イタリアの作曲家モンテヴェルディ(1567~1643)の作品「聖母マリアの夕べの祈り」のアルバムの中で、教会で響きが強く録音されたものを見つけて、これを再びデジタル技術でとても遅い速度で変調させる方式を用いて形而上学的音を得た」と説明した。

フェニックスが先月行った来韓公演は、口の中で爆竹のように弾くフルカラーのピスタチオジェラートのような光と音の饗宴で飾られた。「Goodbye Soleil」は、イタリアのビーチに座って、昔ながらのシンセサイザーの伴奏で歌うシャンソンのようにロマンチックな曲。まるで今年公開された1980年代のイタリア背景の映画「君の名前で僕を呼んで」の隠れたサウンドトラックのようだ。

「あの映画見てびっくりしましたよ。フェニックスメンバーの半分がイタリア系ですから。イタリアで休みを過ごした子供時代の記憶、あの純粋だった感情に戻る気持ちでアルバムを作りましたが、映画もそんな情緒とディテールをずば抜けて表現しましたね」(ブランコウィッツ)

フェニックスの2013年のアルバム(「Bankrupt!」)の表紙は桃の絵。「君の名前で…」で話題となった部分も桃の出るシーン。ただの偶然ではない。ベルサイユは、映画監督ミシェル・ゴンドリーの故郷である。もしフェニックスメンバーたちが監督デビューするなら、どのような映画を作るだろうか?

「エリック・ロメール監督の『クレールの膝』(1970年)のような作品はいかがでしょうか?考えてみたら、あそこにも桃の木が登場しますね。ホホホ」


イム・ヒユン記者 imi@donga.com