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洪尙秀の色がにじみ出る…男が向き合った恐怖

洪尙秀の色がにじみ出る…男が向き合った恐怖

Posted April. 10, 2018 08:23,   

Updated April. 10, 2018 08:23

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ある冬の日、「動物園からトラが逃げ出した」というニュースが流れてくる。皆、寒い日に行き場がなく、消えた虎の行方を気にしながらも、ひょっとして出くわすのではないかと恐れていたあの時。主人公のキョンユ(イ・ジンウク)は生涯で最も悲惨な瞬間を相次いで迎える。

映画「虎より恐ろしい冬の客」の中のキョンユの立場は悲惨である。かつて小説家を目指していたが、ペンを手放して久しい。夜に代行運転をしてやっと食べていく毎日。不幸なことは一気に押し寄せてくるとでもいうのだろうか。同棲していたガールフレンドが、何も言わずに引越ししてしまう。彼女の行方を探し回った末、契約職として働いていた彼女が1ヶ月前に馘首になったこと、家賃を値上げしてほしいという家主に、こっそりお願いしていたことを後で知り、なおさら悲惨になる。

真冬に行くところもなくなった彼は、ただ一人の友人の家に行くが、やはり歓迎されず、代行運転のバイトをしていて昔の恋人であるユジョン(高賢廷)に出会ったりする。小説家として先に登壇したユジョンを向き合った彼は、ぎこちない挨拶を交わして別れるが、ユジョンから引き続き連絡が来ることで再び揺れる。

キョンユはそのつど、ときめきと不安を一緒に感じる。自分の前に置かれた道が突き当りのような気がする一方で、それなりの希望のある道のように曖昧に感じられるからだ。映画は、「動物園を脱出した虎」とキョンユの境遇を交錯させながら、観客にとって映画のメッセージを能動的に探させる。イ・グァングク監督は、「生活を営みながら恐怖の前から逃げ出した記憶を盛り込みたかった」とし、「一人の男が、結局は自分の恐怖に直面する物語だ」と演出の背景を説明した。

イ監督は、洪尙秀監督の「ハハハ」(2010年)、「よく知りもしないくせに」(2009年)などで助監督と助演出を担当した。終始、酒におぼれた主人公、どこかしらあいまいな主題意識とどこに飛ぶか分からない展開…。ところどころに洪監督特有の色がにじみ出ることも興味深い。

苦境の中でも再びペンを握って、それなりの希望を探しだすキョンユを演じたイ・ジンウクの演技が目を引く。性的スキャンダルに巻き込まれていた時期に映画を撮影したからだろうか。悲惨過ぎるあまり、時には非現実的に感じられる映画の中の状況をリアルにこなした。12日に公開。★★★(★5つ星のうち)


張善熙 sun10@donga.com