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韓国系ハリウッドの特殊メイクアップアーティスト、ヴァネッサ・リーさん

韓国系ハリウッドの特殊メイクアップアーティスト、ヴァネッサ・リーさん

Posted January. 15, 2018 10:25,   

Updated January. 15, 2018 11:53

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「俳優のゲイリー・オールドマンの体型は、英首相ウィンストン・チャーチル(1874〜1965)とあまりにもかけ離れていたんですね。本当に苦労したが、彼の受賞に苦しい記憶など一発で飛んで行きましたよ!」

17日、国内で公開する映画「ダキストアワー」。主演のオールドマンは、チャーチル首相を完璧に演じ、今年の米ゴールデングローブ主演男優賞を獲得した。その実にうまい扮装の後には、韓国人の特殊衣装製作者であるヴァネッサ・リー(49)がいた。

ハリウッド映画界で、リ-はすでに自他共に認める実力者である。2006年、映画「アンダーワールド2」の狼人間の特殊衣装制作をきっかけに、これまで参加した作品が100本を超える。「アイアンマン」シリーズの赤い万能スーツや「アベンジャーズ」シリーズに出てくるスーパーヒーローの衣装も彼女の腕前だ。

現在、米国に居住している彼女は14日、東亜(トンア)日報との電子メールでのインタビューで、「最近作『ダキストアワー』は実在人物であるチャーチル首相をスクリーンで100%蘇らせなければならず、資料調査だけで、以前のプロジェクトより4〜5倍以上も時間と力を費やした」と説明した。

「オールドマンは私が作った『ファットスーツ(fat suit)』を着た後、『これは芸術作品だよ』と褒めてくれました。しかし、チャーチルの表情や歩き方まで同じように再現したまさに芸術家そのものでした。俳優が最高の演技を行うことができるように最善を尽くして支援するのが私の役目です。映画に役立ったような気がしてうれしく思います」

子供の頃、小児麻痺を患ったリーは、現在も片足が不自由である。彼女が20代半ばに米国に渡った理由も、韓国では障害者に対する偏見のせいで就職が容易でなかったからだ。現地でも苦労は少なくなかったが、今はアイアンマンやスパイダーマンなど、漫画や想像で可能だった服を現実に取り出しす「ウィザード」となった。

「おおよそのデザインは、制作会社や演出陣が決めるが、それを実物に具現するのはひたすら私の役目です。どうやらちょっと『オタク』のような面があってこそ、スーパーヒーローのファンの口当たりに合わせることができますね。障害を克服した秘訣は、自ら気にしないことが重要です。一生懸命に勉強し、実力を積めば、そんなことぐらいは別に問題になりません」

リーは、今年公開予定の金知雲(キム・ジウン)監督の新作「人狼」の衣装作業にも参加した。本格的に韓国映画に飛び込むのは今回が初めての作品である。

「提案を受けて、すぐに快く受け入れました。私は日本のアニメ監督、押井守原作の大ファンですから。個人的には姜棟元(カン・ドンウォン)という役者は本当に衣装制作のやりがいを感じさせてくれます。服の着こなしがとても素晴らしいですね。ハハ」

すでに多くのことを達成したリーに、ハリウッドで成し遂げたい最終目標は何だろうか。彼女は、3月に開催される「第90回米アカデミー賞」を言及した。

「映画『ダキストアワー』が扮装賞候補に上がっています。私たちのチーム全員が期待しています。初めて映画界に足を踏み入れたとき、『オスカー』は、一つの頂点のように思われたんですよ。しかし、今はちょっと考えが変わりました。そのいかなる賞よりも、私が作った衣装が役者の演技を裏付ける良いツールになれば、既に目標は達成したのと同じですから」



張善熙 sun10@donga.com