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元慰安婦を即座でドローイングするキム・ジョンギ氏、「迷惑をかけるのが心配で最初は断った」

元慰安婦を即座でドローイングするキム・ジョンギ氏、「迷惑をかけるのが心配で最初は断った」

Posted January. 03, 2018 08:40,   

Updated January. 03, 2018 09:15

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「私の仕事ですか?漫画、アニメーション、イラスト、エンターテイメント、現代絵画まで…。すべてにわたってます」

「正確に何をしているか」と尋ねると、キム・ジョンギ作家(43)は笑って、軽く首をかしげた。漫画家として出発した彼は、国内ではまだなじみのない「ライブドローイング」という領域で活動する作家だ。

ライブドローイングとは、スケッチなしに即座で絵を描く技法を意味する。ソーシャルネットワークサービス(SNS)に上がってきたキム作家のパフォーマンス映像には、「見ても信じられない」「まるでコンピューターグラフィックスだ」という反応が殺到する。

「一般的に画家は、被写体を見て絵を描きます。せめてコンピュータでイメージでも浮かべておきますね。私はこの手順を省き、普段観察しておいたイメージをまっすぐ取り出して使います。観客らは頭の中のイメージを平面に再解釈して再配置し、物語まで作り出すことを不思議がっているらしいですね」

キム作家がライブドローイングを初めて試みたのは、2011年の富川(プチョン)国際漫画フェスティバルだった。テントのブースの壁を紙に包み、現場で絵を描いた。この様子を収めた映像がSNSに乗って海外にまで伝わった。その翌年からフランス・ストラスブール漫画祭りや米コミコンなどの国際イベントに招待され始めた。最近はマーベル、ピクサーなどの海外有名ゲーム会社やアニメ会社に招待され、講演も行う。

「最も難しかった作業は、日本軍元慰安婦をテーマにしたパフォーマンスでした。描き間違えば迷惑をかけるのではないかと思って、最初は断ったりしました。想像して描くファンタジーより、正確に知らないことを描くことのほうがはるかに難しい。一番好きなドローイングは、米国の伝説的イラストレーター、ノーマン・ロックウェル(1894~1978)と漫画「コジュブ」を描いたキム・ヨンファン画伯(1912~1998)の絵です。手の動きやポーズだけでなく、雑多なアクセサリー、家具まで、状況や雰囲気に適したもので満たされているんですよ」

キム作家は2014年から、英クリスティーズオークションとフランス・パリでの展示会などを通じて、3億ウォンを超える絵画販売収益を上げた。ドローイングも一つの芸術分野として認められるフランスでは、原画の売買市場が活発である。かつて、フランスの作家ベルナール・ベルベルの小説「第3の人類」のイラストを描いた縁で、今年下半期は、同じ作品を「ライブ漫画」としても披露する予定だ。

「ドローイングは美術でも基本ですね。スポーツにおける基礎体力のようなものです。デジタル時代も基本は人の手です。これで様々な分野で活動できるということを、他の人たちにも知らせたい。特に韓国の漫画市場はウェプ漫画中心に再編され、作家たちが活動できる領域がますます狭くなっています。より多様な活路が開拓されることを期待します」



趙允卿 yunique@donga.com