Go to contents

THE DONG-A ILBO Logo

指の神経を失ったギタリスト、「それでも私からギターを取り上げることはできない」

指の神経を失ったギタリスト、「それでも私からギターを取り上げることはできない」

Posted October. 30, 2017 09:25,   

Updated October. 30, 2017 09:48

한국어
指の神経を失ったギタリスト、「それでも私からギターを取り上げることはできない」

両腕の骨折と右腕の神経損傷。

ギター奏者には死亡宣告に他ならなかった。脳から浮かんだ即興曲想を早い指の動きで表現しなければならないジャズギタリストにはなおさらそうだった。

マイク・スターン(64)。彼はマイルス・デイヴィス、ジャコ・パストリアスと一緒に活動し、ロックとジャズとを行き来しながら、ジャズフュージョンの一家を築いた世界的ギターの巨匠だ。

昨年7月、スターンは不慮の事故に遭った。米ニューヨーク・マンハッタンにある自宅周辺で道を渡ろうとして、床に散らばった工事現場の資材を避けることができず、大きくつまずいたのだ。両肘で地についたので両肩まで骨折した。緊急治療室に運ばれたとき、彼が医療スタッフに最初に聞いたことはこれだった。「私はギタリストだ。手は大丈夫か」。数日後、右腕の神経全般に致命的損傷が見つかった。

大手術。両腕の骨にネジで金属矯正機を刺した。ひょっとするとギターというものを永遠に手放さなければならないかも知らなかった。諦めたかったが、あきらめることができなかった。音楽は彼のすべてだったから。

医師の献身的治療とスターンの情熱的なリハビリは、事故から二ヶ月半後に彼の腕の中にギターを返した。問題はあった。指先に力が全くなく、ピック(pick・手に握ってギターを弾く小さなプラスチック片)がしきりに滑って落ちた。かつら固定用糊を手に塗った。ピックには両面テープを付けた。ようやくピックが固定されたが、一音一音演奏するたびに痛みが走った。

演奏が可能になると、彼は仲間のミュージシャンたちをスタジオに招き入れた。デニス・チェンバーズ、ヴィクター・ウッテン、ランディ・ブレッカー、デイブ・ウェックルのような有名演奏者らが半信半疑で彼を訪ねてきた。最近発表された彼のソロの17回目のアルバム「Trip」は、そのように完成した。「Trip」は、旅行なく「足を踏み外す」という辞書の意味もある。「Screws」(ネジ)、「Scotch Tape and Glue」(セロテープと糊)という曲も盛り込んだ。

22日、京畿道加平(キョンギド・ガピョン)にあるチャラ島国際ジャズフェスティバルで、スターンのフィナーレ公演を見た観客の大半は、このような事情を知らなかった。彼が何事もなかったかのように舞台を歩きながら爆発的な演奏したからだ。しかし、彼の右手の内側には、テープと糊で固定されたピックが握られていた。ギターも、他の人から持ち上げてもらってこそ、肩に担ぐことができる。

公演前に会ったスターンは、記者に対して先に握手を求めた。手の節々がすべて直角に曲がったまま固まっていた。握手をためらうと、明るい笑顔が戻ってきた。「大丈夫!」。

スターンは事故後、日常が変わった。終日リハビリに打ち込む。理学療法、水泳、ストレッチを繰り返す。残る時間はことごとく演奏と作曲につぎ込む。うつ病を患ったことはないかと尋ねた。「私の人生はいつも憂鬱でしたね。薬に嵌っていたし、それで友達も失い、妻は乳がんの闘病をしました。それでも音楽があるでしょう。音楽を聴いたり演奏すると、痛みも自分も忘れますから」

彼は足りない実力を自責しながら、うつ病に陥る子供たちにこう言い聞かせるという。「練習して。2時間だけでもやってみて。落ち込むのはその次にすればいい」。

彼は「音楽は花のようだ」とした。「情熱を注いで待っていると、自分の中で何か美しいものが咲くことを感じます」。

記者と別れる際、彼は笑顔で曲がった右手を再び差し出した。「世の中の誰も私から取り上げることはできませんね。自分で放棄しない限り」。



加平=イム・ヒユン記者 imi@donga.com