2007年に大統領警護室が発刊した「大統領府と周辺の歴史文化遺産」によると、官邸の後ろにある「天下第一福地(世界で最もめでたい明堂)」と刻まれた岩は、300~400年前に造成されたものと推定される。昔から大統領府一帯が風水地理上最高の吉地であったことがわかる。文字の左側に「延陵吳据」という款識(絵や文字の後に作家家の名前や日付を表記したもの)が刻まれているが、中国南宋時代に延陵に住んでいた吳据の文字を集字したものと分析される。
今の大統領官邸の敷地にあった枕流閣(ソウル市有形文化財第103号)は、1905年、大韓帝国時期に建てられた殿閣である。1989年に大統領官邸を新たに建てる過程で常春齋の隣に移した。殿閣の名前である「枕流閣(チムリュガク=流水を枕にするという意)」からもわかるように風流を楽しんだ場所とみられる。枕流閣は高宗(コジョン)当時、神武門(シンムムン)の外苑に建立した殿閣のうち、大統領府に残っている唯一の建物である。八作屋根をつないだ正面4間、側面2間の母屋に左右に1間ずつを突出させた構造となっている。
このほか、秘書棟の近くには、朝鮮王室が景福宮の後苑に観賞用として置いた怪石が残っている。
金相雲 sukim@donga.com