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真実並みに強力な嘘の力

Posted September. 09, 2017 07:21,   

Updated September. 09, 2017 07:52

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切に手に入れたい秘密がある。これを突き止めるために、一定の対価を支払う用意があるのか。封印解除のための祭壇に捧げなければならないのが嘘ならこれに応じだろうか。

このミステリーファンタジーの長編小説は、人間の心の中の奥深いところに潜む禁断の果実を取りたい欲求に正面から質問を投げかける。

ダーウィンが「種の起源」(1859年)を発表してから10年近く経った英国。14歳の少女「フェイス」は有名化石を発見した科学者であり、牧師である父が疑問に満ちた死を遂げると、その真実を暴くために乗り出す。

フェイスが行き当たったのは嘘の木だった。嘘を聞いて実を結び、これを食べた人に秘密を知らせる木。より大きな嘘ほど、嘘がより広く広がるほど、突き止められる秘密の重さも大きくなる。

フェイスは、木に嘘をささやき始める。それからは徐々に嘘の誘惑に陥る。人々に嘘を広めながら快感を感じるようになったのだ。

真実を明らかにするためにうそをつかなければならない皮肉な状況で繰り広げられるフェイスの冒険を追っていくと、早くも次の話を確認したくなる。ビクトリア時代の服装と風俗、街並みが生き生きと広がる中、進化論と創造論が激しく対立していた当時の雰囲気も確認できる。男性は頭蓋骨が女性より大きくて知能が優れており、女性はスマートだったり、熟練した技術を持つことができないと固く信じられていた時代、フェイスが堂々と進む姿は、少女たちに送る励ましのように感じられる。

嘘についての人間の複雑微妙な心理と欲望を多層的に照らすと同時に、読む楽しみも提供する。フィリップ・プルマンの「黄金の羅針盤」に続き、青少年小説としては二番目に英国の権威ある文学賞「コスタ賞」を受賞した。しっかりとした叙事が持つ強力な力は、大人を嵌らせるに十分である。映画「オペラ座の怪人」、「奇跡のシンフォニー」などを制作したルイーズ・グッドシルは、この作品を映画にすることにした。原題は「The Lie Tree」。



孫曉林 aryssong@donga.com