落書きのようで落書きだけではない立体的絵である。デンマークの作家フスク・ミット・ナヴン氏(42)は、このような似た形の作品の写真を集めて、新刊「紙人間」(ブックレシピ)を最近発行した。彼は、東亜(トンア)日報との電子メールでのインタビューで、「私は『いたずらっぽい芸術』を追求する。私が作り出すドローイングのイメージを見た誰かが、完全に別の方法の新しいドローイングを考え出すことを期待する」と語った。
本名を明かすことを拒否した彼の芸名は、デンマーク語で「私の名前を覚えてほしい」という意味である。彼はコペンハーゲンの近郊で成長し、芸術学校を卒業後、建物の壁画やポスター作業をする頃からその芸名を使ってきた。
「ポスターを貼っておけば、すぐに人たちがはがして持っていってしまった。そのため片隅に、『明日になれば、これもまたなくなるはずだから、私の名前だけは覚えてほしい』と書いて貼った。すると、人たちは、『私の名前を覚えてほしい』を作家名でもあるかのように覚えていたよ。面白い上、気持ちも良く、本当に芸名にした」
絵をのせたA4白紙一枚をしわくちゃにしたり、破いたりして構成した「状況」を素早く撮影した写真のイメージが、彼の最後の作業の結果物だ。アイロンの絵でしわくちゃになった紙をかけて皺を伸ばし、紙を引き裂いて立てた波の上に、サーフィンをする人の絵を立てた彼の作品が構想していた状況とおりに存在する時間は、わずか数秒に過ぎない。フスク・ミット・ナヴンは、「私の絵は、そのように消えるので価値を得る。昆虫学者たちが撮影する自然観察写真と似ている」と主張した。
「この本で披露した結果物は、私が手掛ける複数の作業の一つである。キャンバス、壁画、さまざまなデザイン作業を並行するが、絵のスタイルの一貫性を維持する方である。紙を折ってクシャクシャにすると、イメージが飛び出したり、逆に狙っていたイメージ通りに紙を変形させたりする。世界を観察して見つけ出したイメージが『私』というツールを経て形状を整えることができるので幸せだ」
孫宅均 sohn@donga.com