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中朝が韓国抜きで「北朝鮮遺跡」を共同発掘調査、懸念される歴史歪曲

中朝が韓国抜きで「北朝鮮遺跡」を共同発掘調査、懸念される歴史歪曲

Posted August. 02, 2017 07:32,   

Updated August. 02, 2017 08:18

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「中朝共同発掘調査は、ややもすると東北工程のような歴史歪曲に利用される可能性があります。北朝鮮遺跡を巡る韓国考古学界の参加を急がなければならない理由です」

高麗(コリョ)大学の崔鍾澤(チェ・ジョンテク)教授(考古学)は最近、東亜(トンア)日報とのインタビューで、「中国が自国内の高句麗や渤海遺跡を唐式に復元した事例がある」と言い、「北朝鮮の遺跡にも中国文化の役割を実際より強調しかねない」と語った。

文在寅(ムン・ジェイン)政権下で南北文化交流再開への期待が高まっていることを受け、韓国考古学学会は最近「南北考古学協会」の設立推進を決定した。高句麗の峨嵯山(アチャサン)堡塁を発掘した中堅学者で、北朝鮮を複数回訪問した経験のある崔教授は、同協会の設立を主導している。

これに先立って南北考古学界は、2004年は開城(ケソン)工業団地、2005年は平壌(ピョンヤン)高句麗遺跡、2006年は平壌安鶴(アンハク)宮城を一緒に発掘した。さらに、2007年から国立文化財研究所と朝鮮中央歴史博物館が開城にある高麗宮城の跡地(滿月臺)の共同発掘を進めたが、昨年1月、北朝鮮の4回目の核実験で中止された。

その後は韓国に代わって中国が北朝鮮と共同発掘を主導している。実際、中国延邊(ヨンビョン)大学が北朝鮮社会科学院考古学研究所と2010年から2011年にかけて、平壌南寺里(ナムサリ)にある楽浪(ナクラン)レンガ墓を共同発掘したのに続き、2013年は平壌三石(サムソク)区域内にある湖南里(ホナムリ)高句麗の墓を一緒に調査した。昨年は、双方が黄海道鳳山郡(ファンヘド・ポンサングン)チョンドクリにある高句麗壁画墓を共同発掘した。中国の漢武帝が設置した楽浪郡は韓半島に存在しなかったと主張する北朝鮮が、平壌の楽浪墓を中国と共同発掘したことについては、それ自体が異例との見方もある。

今後、北朝鮮が経済開発に拍車をかける過程で、考古学遺跡が破壊される危険性が高いということも見過ごせない。建物や道路、橋などを建設する前に、遺跡が残存するかどうかを把握して保存措置を取るいわば「救済発掘」が必要だが、韓国考古学からこれを支援できるという。実際、1990年代に平壌城の郊外に新都市を開発する際、1000基を超える楽浪の墓が一度に発見されたことがある。崔教授は、「北朝鮮は経済難が深刻化したことで、発掘人員が不足しているのが現状だ」と言い、「発掘機関は金日成(キム・イルソン)総合大学考古学講座と社会科学院考古学研究所、朝鮮中央歴史博物館ぐらいしかない」と話した。

何よりも、北朝鮮考古資料の研究なしに韓国考古学は正しく成立できないという事実である。北朝鮮地域は、先史時代から文物交流の重要通路だったからだ。崔教授は、「現在、私たちが持っている北朝鮮の考古学資料はほとんど空白に近い」といい、「物質材料を必ず研究しなければならない考古学としては致命的といえる」と強調した。

崔教授は、南北考古学交流の最初の対象としてユネスコ世界文化遺産に登録された高句麗壁画古墳を挙げた。崔教授は、「平壌と南浦(ナムポ)、黄海道周辺にはまだ発掘されていない高句麗の壁画古墳が多くある」と語った。



金相雲 sukim@donga.com