錦織は日本のテニス界が死活をかけて作り出した「作品」に近い。錦織は小学校時代からラケットの職人が作った錦織の体形に適したラケットで試合に臨んだ。ソニーでテニス奨学金をもらっていたからこその「贅沢」だった。錦織も期待を裏切らなかった。2015年にはアジアの男子選手では最高の世界ランキングである4位に上がり、昨年のリオデジャネイロ五輪では男子シングルスで銅メダルを獲得した。
だからと言って錦織より7歳若いチョン・ヒョンがいじける必要はない。7年前の2010年6月の第1週に、錦織はランキングは246位だった。それまでの錦織の最高ランキングも56位(2009年2月)でチョン・ヒョン(51)より低い。
ただし、その時も大きな大会では錦織が強かった。錦織は2008年の男子プロテニス(ATP)ツアーで初優勝を果たし、同年の全米オープン3回戦では世界4位のダビド・フェレール(35)を3-2で倒して4回戦(ベスト16)に勝ち上がった。チョン・ヒョンは、まだ世界10位以内の選手を破った経験がなく、メジャー大会の3回戦進出も今回が初めてだ。
結局、今試合の勝負はチョン・ヒョンがどれだけプレッシャーに打ち勝ち、自身の能力を発揮できるかにかかている。チョン・ヒョンは、「錦織選手とは、是非一度対戦してみたかった。ちょっと心配もあるが、それだけ期待もあるし、楽しみにしている。試合では終始集中力を切らさなければ良いプレーができると思う」と話した。
錦織は、「一緒に練習をしたこともないので、正直よくわからない相手だ」と話した。チョン・ヒョンは、自分が誰なのかを錦織に確実に知らしめることだけが残っている。
黃奎引 kini@donga.com