「興民（フンミン）が、こんなに早く私を超えるとは思わなかった」
韓国サッカーの伝説、車範根（チャ・ボングン）氏（６４＝Ｕ－２０ワールドカップ組織委員会副委員長）は、自身と並んだトッテナム・ホットスパーの孫興民（ソン・フンミン＝２５）に祝福のメッセージを送りながら笑みを浮かべた。１６日、Ｕ－２０Ｗ杯トロフィーの公開行事が行われた水原（スウォン）Ｗ杯競技場で、車氏は「孫興民のお陰で忘れられていた自分のことが改めて注目を浴びているようで、幸せだ。アジアの選手が二桁得点を挙げるのは本当にすごい記録なんだ」とも話した。
孫興民は１５日（韓国時間）、英国ロンドンで行われた２０１６～２０１７イングランド・プレミアリーグのボーンマス戦で前半１９分、チームの２点目を決めた。同僚のパスを受けた孫興民はペナルティエリアの右サイドから右足でシュートを放ったが、ボールは相手ＧＫの股を通ってゴールネットに突き刺さった。地元の中継テレビは、「春になるとサン（ＳＵＮ）が登り、ソン（孫興民）が花を咲かせた」と絶賛した。ＥＰＬ２位のトッテナムは、孫興民の活躍で４－０で勝った。
孫興民は、このゴールで車氏が１９８５～１９８６シーズンにドイツ・ブンデスリーガのレバークーゼンで打ち立てた韓国人の欧州リーグ最多得点（１９得点）に並んだ。孫興民は今季のリーグ戦で１２得点、イングランド・サッカー協会（ＦＡ）カップで６得点、ＵＥＦＡチャンピオンズリーグで１得点を記録している。トッテナムは２３日にチェルシーとＦＡカップ準決勝とリーグ戦６試合を残しているため、孫興民が車氏の記録を超える可能性は高い。
車氏は当時、リーグだけで１７得点を挙げており、リーグでの活躍だけで言うと車氏の得点の方が価値が高い。だが、孫興民は直近の４試合で連続得点を挙げて勢いに乗っており、残り試合で車氏のリーグ戦得点記録を超えると同時に、得点ランキングでトップ１０入りを達成する可能性が高い。１５日まで、孫興民のリーグ戦得点ランキングは１２位タイだ。
車氏と孫興民は歴代の韓国人ストライカーの中で、欧州リーグで最も成功したケースに挙げられる。ＫＢＳＮ解説委員のキム・デギル氏は、「車氏と孫興民はスピードと決定力で優れているところは共通している」と話した。しかし、二人のプレースタイルには違いがある。専門家たちは、「あたりに強い車氏は主に最後攻撃でプレーしヘディング能力もあった。それに対して孫興民は、サイドと最前線、トップ下のストライカーなど多様なポジションをこなすことができ、技術も優れている」と評価した。
ドイツのサッカー専門サイト「トランスフファー・マルクト」によると、孫興民は今季に左サイドアタッカーとして１１得点、最前線のＦＷとして７得点、攻撃的ＭＦとして１得点を挙げたという。車氏は孫興民がヘディング能力を磨けば、さらに完璧なストライカーになるだろうとの見方を示した。車氏は、「孫興民は、すでにトッププレイヤーに仲間入りした。制空権を奪う能力を磨けばもっと多くのゴールを決められるだろう」とアドバイスした。
車氏は３３歳で１シーズン１９得点を挙げたが、孫興民は２５歳で同じ記録を達成した。車氏は２５歳でドイツリーグに進出した。今後、車氏を超えてさらなる記録を達成が可能であることを意味する。キム・デギル氏は、「車氏は個人の努力で体力の管理などをしながら欧州リーグでプレーした。孫興民は現代サッカーの発達とともに体系的で科学的な管理を受けているため、より多くの記録作成が可能だ」と話した。
ＥＰＬ進出２年目に先輩たちの記録を次々と超えている孫興民は、「記録マシーン」と呼ばれている。孫興民は同日、ＥＰＬ通算２７得点を記録し、「酸素ボンベ」朴智星（パク・チソン＝３５、引退）の記録とも並んだ。ポジションの違いはあるが、ＭＦだった朴智星が８シーズンにわたって打ち立てた記録を、孫興民は２シーズンで達成したのだ。これに先立っては、スウォンジー・シティの奇誠庸（キ・ソンヨン＝２８）が持っていたアジア選手のＥＰＬ１シーズン最多得点（８得点）記録も更新した。韓国人初のＥＰＬハットトリックや「ＥＰＬ今月の選手」受賞も果たした。
この日、孫興民がゴールを決めると、子供のように飛び上がりながら喜んだポチェッティーノ監督監督は、「孫興民が本当に素晴らしい活躍をしてくれた。しばらく（ＥＰＬに）適応する時間が必要だったが、今は完璧に適応している」と褒め称えた。
鄭允喆 trigger@donga.com
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