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「ガチョウの卵」の免税店

Posted July. 13, 2017 09:50,   

Updated July. 13, 2017 09:59

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飛行機の航続距離が短かった1940年代、米国と欧州を行き来する飛行機は、途中で着陸して給油を受けなければならなかった。この時、中継地として人気のあったところが、アイルランドのシャノン空港である。アイルランドは当時、50万人の年間通過乗客を狙って、「中継地と到着地のどちらにも税金も払わない」新しい店を作った。1947年に誕生した世界初のシャノン免税店である。15年後、韓国にも金浦(キムポ)空港に初の免税店がオープンした。

◆免税店は、事前免税(Duty Free=関税免除)と事後免税(Tax Free=一般税金免除)とに分けられる。事前免税店は、関税と個別消費税、付加価値税などをあらかじめ差し引いた価格で商品を売るところである。一方、事後免税店は、出国するときに関税を除く税金を還付する。事前免税店は、関税庁が全体数を決めて特別許可するが、事後免税店は要件だけ整えて申請すれば、国税庁が許可できる。今回の監査院の監査で問題になった市内免税店は、事前免税店である。

◆2015年、韓国の免税店業界は、世界市場シェア14.4%で、2位の中国(7.3%)を圧倒した。韓国免税店産業を起こしたのはロッテだ。1980年にオープンしたロッテ免税店は、破格にもデパートのようにブランド別に製品を展示販売している。全世界の免税店が品目別に商品を展示する時だった。以後、ロッテは、1984年にルイヴィトン、1985年にエルメスを、1986年にシャネルを出店させ、免税店の「ブランド時代」を切り開いた。

◆免税店は、かつて金の卵を産むガチョウだった。支出が大きい中国人観光客(遊客)に頼って、大きな利益を上げた。しかし、準備が十分できていない状態で、一歩遅れて免税店事業に参入して赤字を出した事業者もいる。一昨年、関税庁の点数操作で特許を受けた企業である。高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の配置と関連した中国の禁韓令は、燃える家に油を注いだ格好となった。金の卵ではなく、「洛東江のガチョウの卵(取り残されたという意)」の状態だ。先を読めなかった政府はそんな中、昨年、市内免税店の特別許可をさらに4つも増やした。規制でも足りず、操作までしたが、結局ガチョウの腹を裂いただけではないかと残念でならない。