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デジタル葬儀屋

Posted July. 05, 2017 09:42,   

Updated July. 05, 2017 09:55

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詩人「金芝河(キム・ジハ)」の回顧録を見ると、ソウル大学在学中に四君子を描く授業で追い出された下りが出てくる。蘭の長い葉を慎重に精魂を込めて描きなさいという先生の言葉を無視して、一気に描いたために起きた出来事だった。しかし、金芝河はその後も「蘭は一気に打つ=チダ(描くという意)べきだ」という持論を曲げなかった。「チダ」とは、点や線を打ったり、線を引くという意味の動詞だ。「黥をチダ(ひどい目に合わせるという意)」という悪口も、黥を打つという意味である。黥刑とは、入墨をする刑罰、すなわち「入墨刑」のことをいう。

◆最近になってようやく、タトゥー(入墨)をファッションに思えるほど、世の中が変わった。それでも一度入れたタトゥーは生涯残る。後で後悔しても始まらない。入墨刑が怖いのはこのためである。顔や腕に「泥棒」という文字が刻まれれば、通常の生活は不可能だった。昔、入墨刑を受けた罪人たちが別に集まって住んだのはそんな理由からだっただろう。西洋に「スカーレットレター」があるなら、東洋には「黒い文字」が隔離の標識だったわけだ。サイバー世界が大きく切り開かれた今日では、「デジタルのスカーレットレター」に苦しむ人々が多い。

◆各企業が求職者のサイバー評判までを照会するようになると、就活者たちは問題になりそうな過去のインターネット記録を探して消してもらうために、デジタル葬儀屋を探すようになるという。米国が、ビザ申請を受けるとき、過去5年間使用したすべてのソーシャルネットワークサービス(SNS)のID提出させることになったことを受け、留学準備生たちもひょっとすると疑われかねない文と写真の消去のために大騒ぎだという報道も出ている。「インターネットの世界に忘却はない」という言葉は、今、現代の格言になるそうだ。

◆国内で初めて、2008年、デジタル葬儀会社「サンタクルーズカンパニー」を立ち上げたキム・ホジン代表は、未成年者が削除を要求した場合、お金の代わりに社会奉仕10〜20時間の確認書を持ってきてもらっている。一瞬の誤った判断でヌード映像や写真が広がったため、幼い命を絶つ事例を見てきたからだ。彼は、電話での問い合わせは多いが、契約が少なく、5年間赤字だというが、国内には20社が活動している。昨年、韓国雇用情報院は、デジタル葬儀屋を「5年以内に浮上する新職業」と見込んだ。これから4年間が残っている。

異鎮(イ・ジン)論説委員