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忠誠の誓い

Posted June. 09, 2017 08:56,   

Updated June. 09, 2017 08:57

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「私は誇らしい太極旗(テグッキ=韓国国旗)の前に…(中略)忠誠を尽くすことを固く誓います」。「国旗への宣誓」は、韓国だけでなく多くの国々にある。私たちは、公共行事の国民儀礼の時にだけこの誓いを暗唱するが、米公立学校の生徒たちは毎日、授業が始まる前に、「私は米合衆国の国旗と…(中略)忠誠を誓います」という誓いを暗唱する。違憲論議のせいで「自発的」とはいえ、しかし、米国のほとんどの学校ではまだ順守される意識である。

◆支配者への忠誠の誓いは、古代から慣習法として約12歳以上のすべての人たちに求めてきたという。裏切り者や不忠勢力をえり分けるための一種の絶え間ないテストだった。中世の封建時代に家臣が主君の前にひざまずいて誓う忠誠の誓いも、ヤクザのような暴力団で一杯の酒を分けて飲んだり、さらには指までつめるマニアックな意識も、結局は主君やボスへの裏切りを防ぐことにその目的がある。しかし、昨今の民主主義国家で「国旗への宣誓」で表現される忠誠の対象は、国旗が象徴する国家と国民、さらには国家理念である。

◆「私は忠誠(loyalty)を望む」。ドナルド・トランプ米大統領が就任直後、ホワイトハウスで当時のジェームズ・コミ連邦捜査局(FBI)局長に、ロシアとの内通疑惑事件の捜査を中止しろと、事実上忠誠の誓いを要求したという。しかし、コミの答えはこうだった。「大統領は私から常に正直さ(honesty)を得るでしょう」。トランプ個人の私僕ではなく、大統領への公僕としてそれなりの義務を尽くすという意味だろう。それでもトランプは重ねて、「正直な忠誠」を要求したと、コミは証言した。

◆新たに政権を握った統治者で、しかも公職経験のない不動産財閥出身の大統領なら、忠誠の誓いを要求するのは全く無理だとは思わなかっただろう。権力の生理を誰よりもよく知っている司正機関の首長なら、その権力のロープを喜んでつかんだかもしれない。しかし、コミは国ではなく、権力者への「危険な忠誠」を拒否した。もちろん、その背景には、権力に屈しないFBI独立の長い歴史が心強い支えになっていたからできたのだろう。