Go to contents

THE DONG-A ILBO Logo

作文の力

Posted June. 06, 2017 08:46,   

Updated June. 06, 2017 08:47

한국어

「この美しい惑星で知覚を持つ存在であり、考える動物として生きること。それだけでも膨大な特権であり、冒険だった」。英国生まれの神経科医「オリバー・サックス」(1933~2015)が人生の終わりで残した文は長い余韻を引く。「妻を帽子と勘違いした男」などを刊行したサックスは、医学界の桂冠詩人と呼ばれた。1965年のノーベル物理学賞受賞者である米国のリチャード・ファインマン(1918~1988)も同様にベストセラーの著者として有名だ。彼が科学の垣根を越えて大衆に近寄ったのも、文の才能のおかげである。

◆彼らは、生まれつきの文才があったはずだろうが、文系であれ理系であれ、「専攻を問わず」作文の能力を育ててくれる英米の大学教育の恩恵も受けたはずだ。ハーバード大学が新入生対象の作文プログラムを義務付けたのは1872年のこと。20年間、このプログラムを率いてきたナンシー・ソマーズ教授は最近のインタビューで、「自分の分野で真のプロになるためには作文の能力を育てなければならない」と主張した。どの分野に進出しても、作文は未来の競争力だという意味だ。

◆同大学の分野別作文のガイドブックのうち、生命科学編はなぜ作文が重要なのかについて、こう説明する。「実験ノートを作成し、研究提案書を書いて研究論文の形でストーリーを語ることは、すべて科学的思考でなくてはならない」。韓国はどうなのか?ソウル大学が、「作文支援センター」の設立推進を明らかにしたのが、わずか2週間前のことだ。先に発表された自然科学大学新入生253人の「作文能力評価」は衝撃的だった。3人に1人は70点未満、65人は正規の作文科目の受講すら難しいレベルだった。

◆携帯電話のメールや電子メールなど、文章を通じたコミュニケーションは増えている。しかし、短文ではなく長文で考えを伝える能力は、韓国では逆行しているような気がする。体の筋肉を育てるためには、運動が必要なように、思考の筋肉をつけるためには、作文が最高の方法である。作文と思考力は、自転車の二輪と同じである。思考力を育てることのできる新聞を毎日読むことも有用である。ソマーズ教授は、「短い文でも、毎日書くべきだ」と助言する。自分の考えを文章にすることができることは、それだけでも膨大な特権であり、冒険である。