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地球村の悩みの種「トランプ」

Posted June. 05, 2017 08:39,   

Updated June. 05, 2017 08:42

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カナダの社会学者マーシャル・マクルーハン氏(1911~1980)は、1960年代に既にテレビなどのメディアと通信、科学技術の発達によって世界が小さくなり、他の場所で起こることにもっと関心を持つ世界が到来するだろうと予想した。氏が1962年に出版した「グーテンベルク銀河:印刷人間の誕生」で初めて使った「地球村(global village)」という言葉は、当時は革命的な概念だった。マクルーハン氏は、世界が一つの村のように同質的で平和になるとは思わなかった。むしろいろいろな状況のために分裂が増える「最大化された不一致」の世界になるだろうと予想した。

◆1984年、内戦に苦しんでいたエチオピアが激しい飢饉に襲われた。生き地獄のような惨状を目の当たりにした米国のポップスター、マイケル・ジャクソンやライオネル・リッチーらは、深い憐憫を感じた。救援のためにシンディ・ローパーやダイアナ・ロスなど40人余りの錚々たるミュージシャンを参加させて、「ウィ・アー・ザ・ワールド」という不朽の名曲を作った。1985年に発売されたアルバムは、全世界で2000万枚以上が売れ、その収益金はアフリカ支援のために使われた。

◆米国のトランプ大統領が、地球温暖化を防ぐための気候変動枠組み条約からの離脱を一方的に宣言し、一気に世界の「公共の敵」になった。世界195ヵ国による合意を米国の煙突産業を保護するとして投げ捨てたことに対しては、米国内からも批判の声が噴出している。戦争や虐殺などの犯罪でもないのに、一国の政治指導者が、それも米国の大統領が世界の怒りを買うのは、なかなか前例のないことだ。

◆トランプ大統領は、米国への挑戦者のいなかった栄光の時代を蘇らそうと、「米国優先主義」を打ち出したが、かえって米国のグローバル・リーダーシップだけが揺れている。欧州連合(EU)もトランプ大統領に距離を置いており、第二次世界大戦後、米国が主導してきた世界秩序の地殻変動も起こりうる。まったく合理的予測が困難なトランプ大統領を見る世界の心境は極めて複雑だ。1980年代のお笑い芸人、金炳朝(キム・ビョンジョ)の流行語のように「地球を離れろ~」と言うわけにもいかないし…。