Go to contents

レッドチームと民情首席室

Posted May. 31, 2017 08:43,   

Updated May. 31, 2017 08:44

한국어

「貧者の聖女」と慕われたマザー・テレサを聖人として推戴し、法王庁は英国のジャーナリスト、クリストファー・ヒッチェンズ氏に助けを求めた。ヒッチェンズ氏は、マザー・テレサが亡くなる2年前の1995年に『宣教師の立場』という本を書いた。同書でヒッチェンズ氏は、マザー・テレサは聖女どころか多国籍宣教事業体の首長であり、原理主義宗教実業家と猛非難した。法王庁がヒッチェンズ氏に任せた役割は「悪魔の代弁者(Devil's advocate)」だった。

◆カトリックで奇跡や明確な業績があって聖人になるに相応しいと請願する職責は「神の代弁者(God's advocate)」だ。悪魔の代弁者はこれに対抗して聖人候補の過ちや失敗をあら探しし、熾烈な反論を展開する。まるで容疑者から自白を引き出そうと役割を分担する「良い警官(good cop)、悪い警官(bad cop)」の構図と似ている。

◆軍では、弱点を攻撃して改善案を模索する役割をする仮想の敵軍をレッドチーム(Red Team)と呼ぶ。米陸軍にはレッドチーム隊員を育てる教育機関(UFMCS・University of Foreign Military and Cultural Studies)がある。UFMCSの教育課程は、神聖不可侵だと考える仮定に対するよう組まれているという。

◆首相と長官候補などから連日、問題が明らかになることを受け、大統領府がレッドチームを構成し、検証を強化する方針だという。与党「共に民主党」シンクタンクの民主研究院の国政運営報告書にある提言をやっと受け入れるようだ。報告書は、「歴代大統領は就任初期に大統領(国政)支持率が上昇し、6ヵ月を前後して頂点に達し、1年6ヵ月から下落傾向に入る」とし、歴代政府の失敗を反面教師として外部者の視点で検証する担当部署が必要だと指摘した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府や文在寅(ムン・ジェイン)政府は、政権の道徳性を強調する。しかし、道徳性ほど自分だけが正しいという集団思考に陥る危険が大きい基準もない。レッドチームの構成もいいが、民情を見回して大統領に伝える民情首席室の役割を見直す必要がある。