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信じることも信じないわけにもいかない公約

信じることも信じないわけにもいかない公約

Posted May. 09, 2017 10:52,   

Updated May. 09, 2017 10:57

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2002年9月30日、民主党大統領候補の盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は、忠清(チュンチョン)での遊説途中、行政首都の忠清圏への移転公約を電撃発表した。大統領選挙が3ヵ月も残っていない時だった。全羅道(チョンラド)の民主党のうえ慶尚道(キョンサンド)候補だったので、忠清票さえつかめば大統領になれると踏んだのだ。担当記者も全く気配を感じることができなかった。この公約で、与野党が熾烈な争いを繰り広げて国家的な非効率を量産したが、盧氏は本人の表現どおり「利益を得た」。紆余曲折の末、世宗(セジョン)市建設が始まったのは、盧大統領任期最後の年の2007年7月だった。

◆大統領選挙の取材をすると、実際のところ政策は後まわしだ。候補の失言やネガティブ攻防、過去の言動がニュースのヘッドラインを飾るが、政策が関心を引くことは容易でない。経済成長率の公約を一方で6%にすれば、他方では「ならば私たちは7%」といった具合だ。軍服務期間も先を争って引き下げ、福祉手当もやたらに引き上げることも、即興的な計算によるものが多い。盧氏の行政首都の賭けは数の争いではなく既存の形勢を揺るがすことだったのでうまくいった。

◆正常な大統領選挙なら、選挙公約は大統領の当選後2ヵ月余りで稼動する政権移行委員会で捨てるものは捨てて再調整される。「川を渡ったら重いイカダは捨てろ」という専門家の声もこの時に高まる。公務員たちが税金の数値を選んで公約を100%履行する場合、必要な見積書を出すのも政権移行委員会においてだ。有権者も選挙の度に騙されてきたので、公約を全て履行したら国が滅びるということぐらい分かっている。

◆今回の早期大統領選挙で当選した大統領は、政権移行委員会なく当選直後からすぐに大統領府に入る。数十兆ウォンを要する公約をめぐってテレビ討論で攻防が繰り広げられたが、にわか作りの公約は信じることができない。公約で自分にどんな利益が戻ってくるかを考えていては、ややもすると甘い言葉に騙されるかもしれない。そのため、討論であらわれた言葉や行動、表情を見て信頼できる人を選ぶのが楽という話もある。公約を信じることも信じないこともできないのが、韓国の大統領選挙だ。