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沈相奵氏の躍進

Posted April. 29, 2017 08:46,   

Updated April. 29, 2017 08:47

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正義党の沈相奵(シム・サンジョン)大統領候補は、「ボーイフレンドを追いかけ回って学生運動の世界に足を踏み入れ、九老(クロ)工業団地に『工活』(工場活動)に行ったが、あまりにも劣悪な女性労働者らの生活を見て、憐憫に耐え切れず労働活動家になった」と自分の本「沈相奵、理想あるいは現実」に書いた。ソウル大学師範学部歴史教育科に通っていた沈氏は、1980年、九老工業団地に偽装就職した。韓国戦争後、日刊紙の1面に初めて報道された労働事件と言われている1985年の九老同盟ストライキの背後首謀者とみなされて以来、9年間を指名手配者として過ごしながら、労働運動家の運命的人生を生きるようになった。

◆昨日発表された韓国ギャラップによる世論調査で、沈氏の支持率が7%を記録した。一週間前より3ポイントも上昇した。沈氏はテレビ討論の最大勝者だ。回答者の30%がテレビ討論が最も上手だった候補に沈氏を選んだ。その次の順位だった「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補の18%と比べても大きな違いである。歴代の進歩派政党候補が記録した最多得票率は2002年の大統領選挙で権永吉(クォン・ヨンギル) 民主労働党候補が獲得した3.9%だった。沈氏の当初の目標は辞退の圧力を眠らせる5%だったが、今のペースが続けば進歩派政党の念願である10%の獲得も不可能ではない。

◆沈氏の支持率上昇は、支持者が重なりかねない文候補の支持率が40%と圧倒的な首位に立っていることとも無縁ではようだ。進歩的有権者らの間では、今は文候補に票を投じなくても当選を心配する必要がないと思う心理がある。過去を振り返ると、正義党が2012年、統合進歩党と決別したことで、これ以上従北政党という疑いを受けなくなったことが、沈氏支持率の安定的基盤となった。

◆沈氏に直接会ってみると、労働運動家というには暖かくて平凡なおばさんの印象と、女性的というよりはむしろ男性的な話し方や論理が強烈な対比をなす。沈氏のソウル明智(ミョンジ)女子高の同級生を一人知っているが、沈氏は、ソウル江南(カンナム)や木洞(モットン)に住む裕福な奥様の同級生たちにも人気があるという話を聞いたことがある。沈氏の躍進は、韓国でも進歩派政党が労働現場だけでなく、生活の中にも根を下して行く現象と解釈できるだろう。