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平壌の英語先生

Posted April. 26, 2017 08:38,   

Updated April. 26, 2017 08:39

한국어

「現金を持っていきなさい。ATMやクレジットカードは使えないだろう」、「目を開けて祈りなさい。宗教に関しては何も言ってはいけない。」、「キャンパスは夜に火をつけず、電気も時折切れるので、懐中電灯は一つ以上、バッテリーは多くを持っていきなさい」。「北朝鮮の平壌(ピョンヤン)科学技術大学が開校した翌年である2011年に、とある教授がまとめた行動要領だ。福音主義のキリスト教徒たちがお金を集めて建設し、英語だけで講義する一流大学で従うべきルールというには納得しにくい。

◆このルールは、韓国系米国人作家「スキ・キム」が書いた「平壌の英語先生」(英語版タイトルは「Without you ,there is no us」)に出てくる。スキ・キムは、英語教授として6ヶ月間過ごした経験を、「潜入ジャーナリズム」の形の本で発行した。それから6年が経ったが、この大学を取り巻く有形・無形の制約は大きく改善していないような気がする。スキ・キムは、「平壌に住んでいるのは、金魚鉢の中に住むのと同じだ」といい、ずっと極度の緊張感を感じたという。遺書を書いてきたという外国人教授も本に登場する。

◆空母と核推進潜水艦までを動員した米国の強力な圧迫に、北朝鮮が平壌科学技術大学教授約80人を人質にしかねないという見方が出ている。すでにこの大学で講義したことのあるトニー・キム元延辺(ヨンビョン)科学技術大学教授が逮捕された。韓国系と外国人教授らは、厳しい見慣れない環境の中でも、同胞愛と信仰に頼って情報通信、農生命、金融経営分野の専門家らを育てている。もし、このような教授らを盾にするなら、北朝鮮は、「恩を仇で返す」という非難の前でどんな言い訳ができるだろうか。

◆スキ・キムの本には、韓国系ニュージーランド人女性教授が、フォークとナイフで食事する方法を教えようとしたが失敗した部分が出てくる。学生らは、英語のみ学べば済むことであり、欧米の食事法までは要らないと拒否する。この教授は、「私たちに、必要な英語だけを出させて、こちらには渡ってこないで」というのと同じだと、憤りをぶちまける。北朝鮮の指導部は言うまでもなく、エリートの学生たちまでが、全世界は自分たちを中心に回っていると思っている。これなら、北朝鮮が自ら招いた孤立から脱け出す時は遥か遠い。