Go to contents

「積弊」扱いされた全仁権

Posted April. 20, 2017 08:37,   

Updated April. 20, 2017 08:37

한국어

ロックバンド「トゥルグッカ(野菊)」のメンバーであった歌手、全仁権(チョン・イングォン)は、テレビドラマ「応答せよ1988」のおかげで、若者たちに広く知られた。ドラマに出て人気を集めたイ・ジョクの歌「心配しないで、君よ」は元々全仁権の曲だ。全仁権は、朴槿恵(パク・クンヘ)弾劾を要求するろうそく集会の招待歌手として、独特のロックの歌唱法で「君のための行進曲」を歌った。彼の声も年月には勝てなかったが、彼の歌は1980年代の相剋であったソウル鍾路(チョンノ)パゴダ劇場のロックと大学街民衆歌謡とが握手をするような温かさを感じさせた。

◆全仁権は一昨日、公演広報の記者懇談会で、「安哲秀(アン・チョルス)はスティーブ・ジョブズのような完璧主義者のきらいがある人だ。そのような人は、話は通じないことがあるかもしれないが、悪い人にはなれないような気がする。新しい大統領はクリーンな人であってほしい」と話したが、文在寅の支持者らから、「積弊勢力」に追い込まれた。全仁権側は昨日、安哲秀支持宣言をしたわけではないと釈明した。しかし、文候補の支持者たちは、「全仁権の公演予約をキャンセルする」などの書き込みを掲載して非難を続けた。

◆文在寅候補は、大統領選挙公式選挙運動に突入すると、積弊清算の代わりに、国民統合を叫んでいる。氏の本音は、「(支持者らの)文字爆弾は調味料」という言葉にあるかもしれない。だからといって、文候補が、「味方でなければすべて敵」というような態度を助長しているとは考えたくない。懸念すべきは、氏が助長しなかったものの、統制もできないのではないかとも思えることだ。文候補自身が積弊清算を叫ぶ紅衛兵のような支持者らの上に浮いている存在かもしれない。

◆旧東ドイツは、ロック歌手までも監視する体制だった。ロックは、自由と抵抗の象徴である。ロック歌手さえ安心して発言できない世界なら、旧東ドイツの体制と何ら変わりはない。公演企画会社側は、「普段より予約販売キャンセル件数がはるかに多い」としながらも、「キャンセル件数を相殺するほどではないが、新規予約販売も増えた」と伝えた。彼の自由を応援する気持ちで、全仁権の公演に行ってみたいと思う。公演は5月6日と7日、ソウル世宗(セジョン)文化会館で行われる。