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ベネズエラのポピュリズムの終わり

Posted April. 04, 2017 08:27,   

Updated April. 04, 2017 08:28

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先月、ベネズエラでクロワッサンとブラウニーを作ったパン屋4人が逮捕された。ベネズエラでは、小麦粉の90%をバゲットのような安価なパンに使うように定めているが、彼らはこの規定に違反して、高級パンを作ったからだという。経済破綻で2016年は400%を超える殺人的インフレで、ベネズエラの紙幣はトイレットペーパーとして使われることもあり、泥棒すら盗もうとしない。食糧不足で国民の体重が減少したことから、ニコラス・マドゥロ大統領の名を取って、「マドゥロダイエット」という新造語が出たほどだ。

◆「南米社会主義の楽園」と呼ばれたベネズエラの悲惨な状況は、チャベス前大統領が残した左派ポピュリズムの遺産だ。1998年、国民の圧倒的支持で当選したチャベスは、石油企業を国有化して、原油販売収入を独占し、この金を無償福祉に投入した。国民は土を掘るだけで金が出てくると思ったし、チャベスはチェ・ゲバラを引き継ぐ南米の英雄となった。しかし、短い黄金期は2013年、原油価格の暴落と共に終わった。

◆労組活動家出身のマドゥロ副大統領は2013年、チャベスが癌で死亡する直前に後継者に指名され、すぐに続いた大統領選挙で大統領に当選した。マドゥロの統治下で、ベネズエラの経済状況は悪化の一途を辿った。マイナス10%の成長が続く中、価格統制で生活必需品が底を尽き、治安は完全に崩壊した。憤った民心は2015年の総選挙で、中道右派性向の野党圏連帯、民主連合会(MUD)を選択して議会が野党に渡った。

◆ベネズエラの最高裁判所は3月30日、議会の立法権限を代行するという衝撃的判決を下した。野党が掌握した議会に代わって、最高裁が別に指定した機関や傘下の憲法委員会で法を作るようにするというものだ。三権分立を侵害したという国内外の批判が沸き起こると、マドゥロは、判決無効化を要求するとしたが、まだどうなるか分からない。選出された権力である最高統治者がポピュリズムに頼って法治を無視すると、直接的に選出はされてはいないものの民主的な制度である司法にこれを牽制する責務がある。民主的制度が本来の機能ができなければ、ポピュリズムの末が独裁体制に帰結されることをベネズエラ事態が生々しく示している。