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人工知能がバベルの塔を建てる日

Posted February. 23, 2017 08:55,   

Updated February. 23, 2017 08:57

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英語小説「華麗なるギャツビー」を金英夏(キム・ヨンハ)の翻訳と照合して読んだことがある。小説家・金英夏があえてこの本を翻訳したのは、原書の躍動感が既存の翻訳ですべて消えた物足りなさからだった。氏の翻訳には、原作の描写を小説家の想像力でリアルに描いた部分が少なくない。しかし、英語解読能力から始まった誤訳がかなりある。西江(ソガン)大学の金旭東(キム・ウクドン)名誉教授は、金英夏の名前を直接取り上げたりはしなかったが、彼の翻訳を批判して、新しい翻訳書を出した経緯があった。

◆21日、ソウル世宗(セジョン)大学で、国際通訳翻訳協会の主催で、人間の翻訳士と人工知能翻訳機との翻訳対決があった。人間の翻訳士には、文学文章30点、非文学文章30点満点で、平均合計49点が付けられ、19.9点が付けられた人工知能を圧倒した。人工知能の翻訳能力は、特に文学文章で落ちて、全体の90%が文章にすらなっていない。製品別には、グーグルの翻訳機が28点で首位、ネイバー翻訳機が17点で2位、シストラン翻訳機が15点で3位だった。

◆対決はハングルと英語との翻訳対決だった。しかし、同じアルファベット言語圏での翻訳対決、例えば英語とスペイン語との翻訳対決だったなら、人工知能のスコアは今よりはるかに高かったはずだと言われている。異なる言語圏同士でも、グーグルは英語と日本語との翻訳は、データがたくさん蓄積されている上、日本語とハングルとは親近性が高い。英語を日本語に翻訳して、再びハングルに翻訳したり、ハングルを日本語に翻訳して再度英語に翻訳する方法だったなら、結果はまた異なっただろう。

◆「Time flies like an arrow」の翻訳を間違えれば、「時間ハエは矢を好む」になる。「時間は矢のように飛んでいく(光陰矢のごとし)」と翻訳するためには、このように翻訳される事例が蓄積され、それがパターンとして認識されなければならない。パターン化しやすい日常言語から徐々に人工知能が掌握していくだろう。聖書における神は、人間が立てたバベルの塔を倒した後、人間の言語を分けてコミュニケーションを遮断した。文学までを人工知能がすべて翻訳する日は、人間が再び禁断のバベルの塔を建てる日でもある。しかし、まだ人工知能が翻訳した「華麗なるギャツビー」を読める日は依然遠そうだ。