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プライバシーのない「ガラス張り財布」

Posted February. 13, 2017 08:26,   

Updated February. 13, 2017 08:28

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「米国建国の父」の一人と言われているベンジャミン・フランクリン。家庭が貧しく、10歳の時に学校を辞めなければならなかったが、知識への情熱は格別なものだった。暗雲が立ち込めた日に、ワイヤーをつけた凧を飛ばして、雷が電気現象であることを立証して科学者としての名声を得た。これは避雷針発明につながった。米国の100ドル紙幣に顔が出るほど、政治家としても尊敬を受けている。数々の名言を残すほど、機知にも富んでいた。「この世の中で、死と税金ほど確実なものはない」という言葉もその一つだ。

◆「所得があれば、税金がある」というのが課税原則だ。「すべての税金は、お金を稼ぐ主体が直接申告し、納付する」というのは、もう一つの原則だ。ところがサラリーマンたちは例外だ。会社が毎月税金を天引きして、国税庁に代わって納付する。「源泉徴収」というものだ。「一つ一つ税金を計算する手間を省かせる」という代理納付の名分は、「猫がネズミのことを気にする」ということわざを思い出させる。

◆サラリーマンたちが納付する勤労所得税が昨年31兆ウォンで、史上初めて30兆ウォンを超えた。一昨年より3兆9000億ウォン(14.6%)がさらに増えたのはもちろんのこと、政府が当初予想していた税額より、1兆8000億ウォン(6.2%)も多かった。「私が収めた税金がそんなに多いのか」と驚く会社員たちに、「名目賃金が上がり、就業者数が伸びたためだ」という政府の説明は、ピンとこない。生活必需品の物価は高騰したものの、「上がらないのは給料しかない」という言葉が出るほど、生活が厳しいのが現状だ。

◆サラリーマンたちは、会社を中に立たせた政府の監視網から隠れる場所がない。なぜ自らを「ガラスの財布」と呼んで冷笑するのだろうか。考えてみれば、所得もプライバシー情報に属する。しかし、憲法第17条の私生活秘密保障は、サラリーマンたちには遠い国の話でしかない。会社員らは、プライバシーを放棄してまで、国の財政の元手を提供した。毎年一回ぐらいは、国政最高責任者から、でなければ国税庁長から「ありがとう」という一言でも聞くなら、相対的剥奪感が少しは和らぐだろうか。