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さようなら、地上最大のショー!

Posted January. 17, 2017 08:23,   

Updated January. 17, 2017 08:25

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1953年にアカデミー作品賞を受賞した「地上最大のショー」は、華やかなサーカスの哀歓を描いた映画だ。大型テントの下で危険な離れ業を繰り広げる曲芸師らと滑稽なピエロ、様々な動物が調和をなすサーカスの魔法に対し、惜しみない敬意を込めている。ジェームズ・スチュワートとチャールトン・ヘストン主演の映画だ。実際のモデルは、リンリン・ブラザーズサーカス団で、当時の団員たちや動物も映画に出てくる

◆146年の伝統を誇るリンリン・サーカス団の規模や人気は大変なものだった。19世紀半ばから専用列車に乗って巡回公演を行ったが、全盛期は1400人の団員に象の数だけでも50頭を数えた。しかし、テレビや映画に続き、ゲームやインターネットが登場したことで下り坂を歩んできた。いよいよリンリン・ブラザーズ・アンド・バーナム&ベイリー・サーカスの親会社であるフェルドエンターテイメントが解散決定を発表した。観客減少や運営費の増加による経営難の末、5月にお別れの公演を行うという内容だ。

◆リンリンサーカス団の解散は、時代の変化によるものだが、その決め手は象の出演中止だった。1882年に象「ジャンボ」が舞台に登場して以来、象のショーはサーカスの象徴になった。2000年代に入って、調教方法を巡って動物保護団体と対立しながら長い法廷攻防が始まった。結局、昨年5月、すべての公演から象を外すことを決めた。象43頭がフロリダ州にある保護センターに送られ、観客が激減した。サーカス団側は、「大勢の人たちは象が公演しないことを願うといいながら、いざ象が出なくなるとサーカスに背を向けた」と嘆いた。

◆動物保護団体は、「地上で最も悲しいショーが終わりを告げることになった」と、解散ニュースを喜んだが、ふと気になることがある。野生に戻ることもできない象たちは、果たして曲芸団から保護センターに移住してはるかに幸せになっただろうか。小説「机は机だ」の作家ペーター・ビクセルは、こんなことを語った。「過去、つまり昔が今より優れている理由は、今より何かもう一つのものを持っているからだ。それは思い出だ」。はらはらさせる緊張感と楽しい笑い声に満ちた地上最大のショーが幕を閉じる。アナログ時代の思い出も一緒にカーテンの後ろに消えることになった。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com