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注射おばさん

Posted January. 10, 2017 08:19,   

Updated January. 10, 2017 08:21

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「注射おばさん」と言われた時に思い浮かぶキャラクターは、映画「殺人の追憶」で刑事役を演じた宋康昊(ソン・ガンホ)の恋人役を演じたチョン・ミソンだ。「村人たちは病気になれば、病院の代わりに君のとこを訪ねると言っているが…」。映画の中の宋康昊のセリフのように、元看護士のチョン・ミソンは、村人たちに注射を打つときに耳にしたことを、刑事に伝え、犯人の手がかりを探させる。特別検察官(特検)は、2013年5月から6月にかけて、元秘書官だったチョン・ホソン被告と(イ・ヨンソン)行政官との間でやり取りされた携帯電話のメールを基に、注射おばさん、気治療おばさんが大統領府を出入りしたと明らかにした。

◆特検が行方を追っている注射おばさんは、江南(カンナム)周辺で「ぺク室長」と呼ばれている70代の人で、2005年に常習違法施術容疑で実刑判決を受けた人物だ。朴槿恵(パク・グンヘ)大統領は1日に記者らとの新年の挨拶会で、「疲れをいやすために栄養注射を打ってもらうこともありうるのでは」と、メディアが自分を罪人扱いすると訴えた。大統領が疲れを訴えれば、主治医から処方を受け、看護将校から胎盤注射であれ、ビタミン注射であれ、打ってもらえればすむことだ。なのになぜ大統領は、注射おばさんが必要だったのだろうか。

◆ぺク室長は単なる注射おばさんではなく、ボトックスやピラー(ヒアルロン酸注射)などの簡単な施術までを手掛ける「施術おばさん」であった可能性がある。実際、キム・ヨンジェ医師は聴聞会で、大統領の顔の痣の跡は、「ピラー(ヒアルロン酸注射)らしい」と言いながらも、自分ややっていないと主張した。主治医でも、キム・ヨンジェでもなければ、第3の影の診療人がいたことになるが、それはぺク室長である可能性があるという意味だ。大統領にぺク室長を紹介した人は、ほかならぬ崔順実(チェ・スンシル)被告だ。いわば「闇」と呼ばれる違法注射施術は、警察の取調べの対象だが、これを大統領が受けていたならそれこそ問題と言わざるを得ない。

◆朴大統領は気治療おばさんや顔ツボマッサージおばさんからもマッサージを受けた。気治療はいわば、ツボ押しマッサージだと、チョン被告は主張した。朴大統領は、腫れた顔を元に戻すため、パク某氏からツボマッサージも受けた。ただ、パク氏は崔被告が紹介したわけではなく、歴代大統領やその夫人らも皆、パク氏から管理を受けたという。第2級国家秘密である大統領の健康を、様々な「おばさんたち」が責任を持ったというのだから、主治医は辞表を出して当然だ。