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大統領府の影の実力者、ヒマンイとセロミ

大統領府の影の実力者、ヒマンイとセロミ

Posted January. 06, 2017 08:27,   

Updated January. 06, 2017 09:20

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「君は俺のタイプそのまんま/ 何も言わなくても感じるんだ/ 頭の先からつま先まで全部君は俺のタイプ」。2015年、新人グループ「アイコン」が発表したデビュー曲「趣向狙撃」の歌詞だ。甘い感性のこの歌は、国内外の若者層を攻略して大ヒットした。年寄りには分かるようで分からないような歌詞を日常的表現で圧縮すれば、「君は僕のタイプ」という意味だ。

◆「趣向狙撃」は文字通り、趣向と狙撃とを合成した新造語だ。気に入る人や100%共感するタイプに会った時に使う。例えば、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と国全体をぐらつかせた国政壟断の張本人である崔順実(チェ・スンシル)被告との関係は、「趣向狙撃」の真相研究事例になってもおかしくない。崔被告が重要な国政だけでなく、大統領の事細かな日常生活にも深く関わったことが次々と明らかになっているからだ。

◆2013年2月、朴大統領は大統領府に入る際、隣人たちからプレゼントとしてもらった珍島(チンド)犬2頭を連れて行った。その翌年、「鄭潤會(チョン・ユンフェ)文書」騒ぎの最中に行われた与党セヌリ党指導部との昼食会で、大統領が、「大統領府の本物の実力者は珍島犬だ」と面白くもない冗談を飛ばして有名になった子犬たちだ。ところが、後でわかったことだが、大統領府が作成した「珍島犬.hwp」の文書を「検討」して、珍島犬の名を「ヒマンイ」と「セロミ」に「決めた」人はほかならぬ崔被告だった。氏が、大統領の衣装や美容だけでなく、官邸の壁紙の色まで、大統領に代わって選んだことも明らかになった。大統領が自分のライフスタイルに関わる事細かな事案を、それも専門家とは程遠い崔被告に最終判断を頼っていたなんてあきれるばかりだ。いったい二人の呼吸がどれほどうまくあっていたのか…。

◆趣向というのは極めて内密な感性だ。住宅をどのように飾り、どんな服を着るかなどを全体的に結合させたライフスタイルが溜って、自分ならではの個性が出来上がる。だから、趣向の喪失は、ほかならぬアイデンティティを失くすことと同様だ。外部とのコミュニケーションを食い止め、崔被告の眼目や判断にひたすら頼った心理構造が大変知りたい。今、朴大統領にとって最も必要なものは、自分の趣向と内面を真剣に振り返る省察の時間ではないかと思う。