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[オピニオン]2017年を生きる方法

Posted January. 02, 2017 08:32,   

Updated January. 02, 2017 08:45

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「立ち止まれば、見えてくるもの」を書いた恵敏(へミン)僧侶が最近、放送で聞かせてくれたエピソードだ。米国での留学時代、グループ課題の役割分担をする時、最も厳しい部分を自分が買って出た。「自分が模範を示したから、ほかの人たちも順番に難しい課題を引き受けるだろう」と思ったが、なんと!面倒なことはそのつどすべて僧侶に押し付けるのではないか。断ることもできず、気をもんでいた恵敏僧侶に、とある先輩がアドバイスをした。「まずはあなた自身に対して優しくなりなさい!」。

◆エッセイ集「百年を生きてみたら」を発売した元老哲学者である延世(ヨンセ)大学の金亨錫(キム・ヒョンソク)名誉教授がインタビューで、このようなことを口にした。「97年間生きてみたら、一緒に暮らした時が最も幸せだったような気がする。自分が残したものが積み重なって歴史になっていた。他人の荷物を自分が代わりに背負った記憶が、幸せに長く残っていた。若者に代わって悩んだり、キリスト教の悩み、政治家の悩みを自分が代わりに悩んだ時と同じケースだ」。

◆「自分を愛しなければならない」と、「他人の荷物を代わりに背負うべきである」、このような心構えで生きることを新年の目標に決めた。お互いに相反する価値のように見えるが、健康な体のために炭水化物や脂肪、たんぱく質をバランスをもって摂取しなければならないように、健康な心のためには、過不足なく、二つのバランス感覚を保つのがカギとなるだろう。どっちの方が正しいのか曖昧だった「知るのが力だ」と「知らないのが薬だ」という矛盾を受け入れながら、ようやく大人になるように。自分を信じることができず、他人の判断に振り回されたリーダー、私利私欲に目のくらんだ利己的エリートのために落ち着かない気持ちで2016年と別れた。しかし、彼らの墜落は、健全な精神、正しい人間性の意味を改めて反芻させた。

◆英国は第2次世界大戦を控え、風前の灯火の運命に置かれた国民を安心させるため、このようなポスターを作った。「Keep calm&Carry on(平常心を保って普段通りに続けてください)」。我々には自薦他薦の大統領選挙候補はごまんといるのに、「これからは私たちが激しく闘うから、国民の皆さんは落ち着いて日常に戻ってください…」と言ってくれる人は見えない。ひとしきり台風が過ぎ去れば、海の中はきれいになるという。巨大な渦巻きをかき分けて出てきた大韓民国号、新年はそのような幸せを享受できるように…。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com