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[オピニオン]募兵制は正義なのか

Posted September. 13, 2016 08:53,   

Updated September. 13, 2016 09:34

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「コバウおじさん」は、金星煥(キム・ソンファン)画伯が、1955年から東亜(トンア)日報に連載した時事漫画だ。原画が登録文化財に指定されるほど、4コマ漫画の中に、韓国現代史が盛り込まれている。1957年11月20日付の968話は、「パック(コネという意)が無くて正気でない人」が「パックパックパック」と叫びながら歩き回るシーンから始まる。コバウおじさんは、「もっといいパックを紹介する」と言いながら、自分の銅像の前に連れていく。この人は、銅像を背負っては、「パックがある、パックがある」と叫ぶ。

◆「バック(Back)」を強く発音した「パック」は、頼もしい背景やコネを意味する俗語だ。「渦巻の中の韓国政治」を記したグレゴリー・ハンダーソンは、「世話をする」という意味の韓国流英語で、日本植民地からの独立後に作られ、韓国戦争期間中に広く使われたと説明した。バックがなければ就職も、昇進も容易でない腐敗した社会だった。軍隊徴集もバックが通じる代表的分野と言われた。バックがよければ、兵役を回避することでもできたし、行っても楽な補職につくことができた。しかし、今もそのバックが完全になくなったわけではない。

◆陸軍准将出身の野党「国民の党」の金中魯(キム・ジュンロ)議員は、兵役義務のある4級以上の高位公職者2万5388人の9.9%である2520人が兵役免除者だと明らかにした。高位公職者たちの子息のうち4.4%も、兵役免除を受けた。今年上半期の全体徴兵検査の対象者のうち、兵役免除者が0.4%なのに比べれば、大きなギャップといえる。高位公職者とその息子たちが国防の義務を履行できないほど虚弱だというのは異常なことだ。バックが働いたとは信じたくないが、「人事聴聞会5種セット」の一つと言われているのが兵役逃れであり、禹柄宇(ウ・ビョンウ)民情首席秘書官の息子の事例から見ても、その信頼が揺らぐ。

◆南景弼(ナム・ギョンピル)京畿(キョンギ)道知事が提案した募兵制を巡り、意見が分かれている。賛成側は、人口減少傾向を受け、装備の現代化を通じて将兵削減を補完できると主張している。反対側は、貧しい家の息子たちのみ軍に行くことになる正義でない発想だと批判する。募兵制は、雇用や国防予算のレベルだけでは議論できない事案だ。募兵制を巡る議論が、国民の共感を得るためには、「ノブレス・オブリージュ (社会的地位に伴う責任)」がまず定着しなければならないだろう。

異鎭(イ・ジン)論説委員 leej@donga.com