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多くの「鄭俊英」たちと安全に愛する権利

多くの「鄭俊英」たちと安全に愛する権利

Posted March. 16, 2019 08:07,   

Updated March. 16, 2019 08:07

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鄭俊英(チョン・ジュンヨン)動画スキャンダルが起こると、韓国サイバー性暴行対応センターはこのように論評した。「社会のあちこちに女性との性的関係の経験を誇示する多くの『鄭俊英』が存在する。彼が有名人でなかったなら、この事件は注目されずに過ぎ去っただろう」。不法撮影犯罪の年間増加率は2桁だ。加害者はほぼ男性なのに、5人に1人は恋人や友人など知り合いだ(警察庁資料)。そのため、鄭俊英の記事にはこのようなコメントが寄せられる。「私の彼はそんなことはないだろう」、「盗み撮りが怖くてできない」

実際、盗み撮りがなくても、先進国の男女間の性交渉の回数は減っている。特に1980年代以降に生まれたミレニアル世代がそうだ。米サンディエゴ州立大学のジーン・トウェンギ教授(心理学)によると、90年代、米国の成人は月5.2回性交渉をしたが、2014年には4.5回に減った。ミレニアル世代のうち15%は成人になるまでに性交渉の経験がなかったが、これはX世代(70~80年生まれ)の2.5倍だ。英国は16~44歳の男女の性的関係の回数が01年の月6回から12年には5回に、オーストラリアでは同期間、月7.2回から5.6回に減った。「草食男子」の国、日本は、18~34歳の未婚男女のうち性的経験のない割合が05年の33%から15年には43%に増えた。欧州で出産率が最も高いスウェーデンも、性的関係の頻度が減り、出産率に影響を及ぼすか心配されている。

米誌アトランティックはこのような傾向を「セックス不況」と規定し、若者がベッドを避ける原因を分析した(18年12月号)。まず、学業と就職の負担のために深くつきあう余裕がない。ジェンダー感受性が発達し、女性はデートが性的暴行につながるか恐れ、男性は誤解されるのではないかとためらう。ソーシャルメディアの非現実的なビジュアルに気後れした若者もいる。デーティングアプリのおかげで、選択肢の幅は広がったが、かえって一人を選ぶことは難しくなった。「選択のパラドックス」だ。

経済不況と違ってセックス不況は心配するには及ばないという反論もある。女性が望まない時「ノー」と言うことができ、男性は配慮するようになったためなので、頻度が減ったのはセックス不況ではなく健全な「セックス・ダイエット」ということだ。米ユタ大学のダン・カルソン教授(家族消費者学)は、「性的関係の満足度を高めるのは頻度ではなく平等な性的役割」と指摘した。カルソン氏の研究によると、家父長的なカップルは頻繁だが満足度は平等なカップルの方が高かった。

韓国のミレニアル世代の性生活に関する統計は少ないが、米国や日本の若者と大きく異ならないだろう。俳優のイ・ソムとアン・ジェホンが主演した映画「小公女」(17年)にはこのような場面がある。貧しい若い男女が真冬に暖房のない部屋で愛し合おうとしたが、寒すぎて服をまた着る。「春にしよう」と言って。

ジャレド・ダイアモンドは著書『セックスはなぜ楽しいか』で、人間の性的習性は動物と共通点を探すことは難しい、人間だけが持つ特徴だと強調した。人から見られない場所で愛し合い、生殖ではなく快楽のために関係を持ち、一夜の愛ではなく一人のパートナーと長く会う種は人間のほかにはない。円満な性生活が幸福感を与えるという研究は多い。それを就職が心配で、寒くて、春が来ても盗み取りが怖くてできないなら、それは個人の事情ではなく社会の問題だ。「個人的なことが政治的である」というフェミニズムのスローガンだ。「何回するか」、「楽しいか」という質問すらも「安全に愛する権利を保障せよ」という政治的な質問だ。