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孤独にならないために

Posted March. 09, 2019 08:27,   

Updated March. 09, 2019 08:27

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世界で最も解きがたい質問が一つある。「私はなぜ生まれたのだろうか」。質問は一つだが、答えは数万個もある。答えを解く過程も数千種類に上る。この質問の前に立つと、私たちは極めて小さくなり、不安になる。何とか答えを知ってこそ、気が済みそうだ。だから宗教に頼ったり、神にお伺いしたりする。愛に頼ったり、哲学や心をさまようこともある。私たちのほとんどは、どこかに答えが存在しており、見つけることができるだろうと信じている。犬の糞も存在する理由があるというのに、私たちが存在する理由がないはずがない。

ところが、何人かの詩人は話す。実は世界で最も解きがたい質問は、まったく解けない質問だったと。世の中に生まれる理由は到底見つけることができないと。訳もなく人間に生まれたという。崔勝子(チェ・スンジャ)詩人がその何人かの詩人に当たる。

崔勝子詩人は、質問も回答も断る。質問という希望と回答という幸せが消えると、深い孤独だけが残った。孤独は一種の苦しみである。それは誰とも共有できず、助けを求める手立てもない。孤独は、自主的で、前向きな孤独と異なるもので、魂を絞る罰に近い。その罰に苦しむ者の肖像が、この詩に描かれている。

崔勝子詩人は、破格の作品で登場して、韓国詩壇において非常にユニークな存在になった。彼女が語るものは、かつて誰からも言われたことがなかった。しかし、このような賞賛が詩人にどんな慰めになるだろうか。孤独は、独房刑務所のようなものだ。孤独な一人の人間の苦しみに対して、一寸の慰めすら伝えることができず、その点を痛感するだけだ。

文学評論家


李恩澤 nabi@donga.com