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「専門家」を働かせるべきだ

Posted February. 25, 2019 07:45,   

Updated February. 25, 2019 07:45

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「水中溶接工」という職業がある。たとえば中東から韓国にタンカーが移動するとき、約1ヶ月間の航海によって船には大小の傷ができる。問題が生じたときに適時に修理しなければ、油流出などの事故が起きかねない。これを防ぐために投入されるのが、水中溶接工だ。海の中に入って修善作業をする人で、主に海軍特殊戦旅団(UDT)出身だ。彼らが水中溶接という特別な技術で稼ぐ日当は、通常の労働者4、5人分の給料だという。リスクを冒さなければならないし、高度な技術が必要だからだ。

韓国の産業現場がきちんと回るためには、このように安全にかかわる専門技術者が必要だ。化学工場でもそうだ。韓国の代表的な化学工業団地である全羅南道麗水市(チョンラナムド・ヨスシ)にある麗水国家産業団地に入居している精油化学社は3、4年に一度、1、2ヶ月間工場稼動を中止して、「大整備」の時間を持つ。工場の中に密に立てられたパイプの割れ、パイプ内部にできた垢などを整備する配管、溶接作業をはじめ、電気点検まで総体的に行われる。この時に投入される整備工は、そのほとんどが熟練技術者だ。目の前に見える亀裂は、熟練度の低い技術者でも直すことができる。しかし、次々と密に立っている巨大なパイプの裏面に亀裂ができた時は、高度の技術者を投入しなければならない。彼らは、パイプの背面の両側に手鏡を置いて、鏡に映して逆に見える亀裂を両手を同時に使って均質に補修する。彼らの作業を現場で実際に見た人は、「実に美しい」と話した。

大整備作業は、専門技術者のプールを最大限活用して、決められた期間内にきちんと終えなければならない。工場稼働を中止した状態で行う整備作業であり、工場の稼動が一日だけ遅れても、数十億ウォンから数百億ウォンの損失が発生しかねない。だから整備作業は、夜間や深夜勤務の形で行われるのが常だ。主に大企業の下請け業者がこのような整備作業を引き受けるが、彼らは、春から晩秋まで一つも工場で1、2ヶ月間作業後、隣の工場に移動して働く。そして冬は休む。

ところが、このような作業は今年からは不可能になる可能性が高い。週52時間労働制の罰則猶予期間が終わるが、弾力労働制の単位期間が6ヶ月間と合意されたからだ。それさえも、現行の3ヶ月よりは増えたのだから、幸いというべきだろうか。弾力労働制の単位期間が1年であれば、彼らは法律を犯さなくても済むが、労使政代表らは複数回の対立の末、6ヶ月に合意しただけだ。それさえ、この合意案も国会を通ってこそ効力が生じる。

この問題は、単に労働形態の問題だけで終わらない。麗水産業団地で、とある大企業の大整備を十数年間担当しているとある協力会社は、大整備だけで年間200億ウォン以上の売上を上げると話した。今後、この会社が法を守る範囲内で、同じ規模の売上を維持するためには、より多くの従業員を雇う必要がある。しかし、専門技術者のプールは限られており、会社が費用を増やすにも限界がある。このため、多くの企業が非熟練労働者やアルバイトを雇う。

最近、産業現場で残念な人身事故が起きる背景には、他の理由もあるだろうが、このような構造も一役買っている。

ほとんどの企業は、生産現場の無事故を第1原則としている。尊い人命が関わっていることもあるが、安全事故を起こせば、地方労働庁から強制的に生産中止命令を受けるなど、失うものが多すぎるからだ。このため、現場で協力会社の職員が問題を発見すれば、元受け業者に報告するために時間を費やす代わりに、直接「作業中止命令権」を持たせるところも多い。

あらゆる意味で合理的な弾力性労働制単位期間の1年が、合意のテーブルではなぜ議論の対象すらならないのか。


ハ・イムスク記者 artemes@donga.com