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大胆で正直な曺奉岩

Posted February. 08, 2019 08:18,   

Updated February. 08, 2019 08:18

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西大門(ソデムン)刑務所の死刑執行場の柳の木に珍しい鳥が現れて悲しげに鳴き、「奉岩(ボンアム)鳥」または「竹山(チュクサン)鳥」という話が伝説のように伝えられている。その主人公である竹山・曺奉岩(チョ・ボンアム)は、光復後、共産主義と決別して、制憲国会議員、初代農林部長官、国会副議長を務めた。第2代と第3代大統領選挙に出馬していずれも2位となり、第3代選挙では216万票以上を獲得した。しかし、1959年7月にスパイ罪で死刑が宣告され、西大門(ソデムン)刑務所で処刑された。

よどみなく書き下ろす筆体を見ると、非常に明晰だったことがうかがえる。先生は光復後、過去に身を置いた共産主義、つまり暴力革命を唱える「ボルシェビズム」から、議会民主主義を認めて徐々に資本主義を改革していく「民主社会主義」に転向した。戦後の欧州の発展過程はその判断が正しかったことを立証した。大きな文字からは大胆さがうかがえる。死刑執行を控えて先生は、「敗者が勝者に殺されることはよくあること」と毅然としていた。横線が非常に長いのは、強靭な忍耐力を物語るが、先生はいかなる場合にも躊躇したり挫折しなかったという。

筆体を見ると、先生は正直で正しい人であることがうかがえる。嘘をよくつく人の字は、無秩序で読みにくく、筆圧が弱く、基礎線や傾き、大きさ、間隔、速度などの変化が大きく、遅くて無理に整えたような形のものが多い。または、書いた字を矯正したものがよく目につく。先生の筆体はそれとは程遠い。

全体的に正方形でバランスが取れていることからも、先生は正しい人であったことが分かる。懲役5年を宣告した1審の裁判長が2審の死刑宣告について「到底理解できない」と述べ、担当した大法院(最高裁)判事も、「私も竹山が転向後に共産主義者やその同調者でないことを認める」と話したことからも、死刑判決に問題があったことは明らかだ。2011年1月、大法院は再審裁判で無罪を宣告した。



シン・ムギョン記者 yes@donga.com