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便器になった黄金

Posted January. 10, 2019 08:43,   

Updated January. 10, 2019 08:43

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1917年、マルセル・デュシャンは店で買った小便器にサインをし、「泉」という題名を付けてニューヨークのある展示会に出品した。芸術家が直接描いたり作ったりするのではなく、何かを選択する行為だけでも芸術になり得るかという問いを投げかけたものだったが、多くの論争の末、評壇は彼の手を取った。デュシャンは、「レディ・メイド」と命名した既成品も作家の選択によって芸術になり得ることを初めて証明した芸術の革新家だった。

約100年後、イタリアの芸術家、マウリツィオ・カテランは、18Kの黄金で便器を作り、ニューヨークのグッゲンハイム美術館の5階に設置した。デュシャンが平凡な便器を美術館に持ってきて鑑賞の対象にしたとすれば、カテランは高価な黄金に便器の機能を与え、体験型芸術を誕生させた。0.1%の上流層の家にならありそうな超豪華な黄金便器を美術館の公共のトイレに設置し、誰でも使えるようにしたのだ。芸術家は、作品の解釈を観客に委ねるが、「米国」という題名を通じて、世界の経済大国である米国で起きる経済不均衡、富の世襲、アメリカンドリームの虚像などを痛烈に風刺している。

黄金の便器が設置された翌年、グッゲンハイム美術館は、ゴッホの風景画をレンタルしたいというホワイトハウスの要請を受けた。トランプ大統領夫妻の寝室に飾るためだった。美術館のキュレーターは、「ゴッホの絵はレンタル不可だが、望むならカテランの黄金の便器はレンタルできる」と回答した。さらに、便器としても完璧に機能する芸術品であり、材料費だけで100万ドル以上するという説明も付けた。

ゴッホの絵は、少数権力者や金持ちの寝室の壁にかけられるより、皆が楽しめる美術館になければならないというのが美術館の判断だった。芸術家も、黄金の装飾が好きな富豪出身の大統領にこの作品を永久に提供する意向を明らかにしたが、ホワイトハウスからその後、何の返答もないという。約100年前にデュシャンの便器が美術の概念について問いかけたとすれば、カテランの便器は私たちの時代の美術の役割を考えさせる。

美術評論家