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使い古した履物のように捨てられた米国の同盟

使い古した履物のように捨てられた米国の同盟

Posted December. 31, 2018 08:24,   

Updated December. 31, 2018 08:24

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来年1月1日に辞任するマティス米国防長官のニックネームは「狂犬」だ。短い髪、背筋がピンと伸びた姿勢を常に保つマティス氏は、猪突的な性格で有名だった。本人はこのニックネームが好きでないというが、トランプ大統領はこのように呼ぶことを好んだ。

マティス氏は、トランプ政権の内閣と参謀の中で最も影響力があると評価されてきた。トランプ氏は、たびたびマティス氏を「本物(real deal)」と褒め称え、マティス氏の助言に耳を傾けた。マティス氏の力量と資質に対しては、政派を問わず良い評価がついて回った。

米国のジャーナリスト、ボブ・ウッドワードが書いた本『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』には、2013年の中東作戦を総括する中部軍司令官だったマティス氏が、オバマ政権と対イラン政策で対立したエピソードが出てくる。

マティス氏は、抗議の意味で軍服を脱ぎ、このように話す。

「私は軍事問題において『最善の助言』をして給与を得ます。政策決定者の歓心を買うために所信を変えはしません」

 

マティス氏は、シリア駐留米軍を撤退するというトランプ氏の独断的な計画に反発して、20日に辞意を表明した。辞任の書簡でマティス氏は、「(大統領は)自分の見解を共有する国防長官を選ぶ権利を持っている」と書いた。迂回的に言ったが、トランプ氏の決定が、40年間軍に服務し、特にイラク・アフガニスタン戦争で野戦指揮官を務めた「中東専門家」として守ってきた所信に反することを明確にしたのだ。

8年間内戦が続くシリアの駐留米軍の数はせいぜい2千人余り。戦闘兵力でもない。少数民族クルド人を中心とする武装組織「シリア民主軍」(SDF)を訓練し、兵器を支援する役割を担ってきた。シリア駐留米軍が撤退するとしても、有事の際に中東で米国が行う軍事的動きに大きな影響を及ぼさないとも言える。

マティス氏が辞任してまで守りたかったのは「信頼と約束の重み」だった。シリア内の武装勢力である過激化組織「イスラム国」(IS)を撃退するという共通の目的で集まった北大西洋条約機構(NATO)同盟国をはじめクルド人と相談なく独断で下した決定、これによって崩れる信頼を憂慮したのだ。

フランスは米軍撤退の決定に強い不満を示した。マクロン大統領は、「同盟は協力しなければならない。それが国家や軍隊のトップとして最も重要なことだ」と吐露した。欧州の多くの国家がISと戦っている状況で、「ISに勝利した」と言うトランプ氏を見て、どれほど「裏切り」を感じただろうか。

シリアのクルド人が感じた裏切りはさらに大きなことは明らかだ。米国の兵器を手にして事実上、すべてのISとの戦闘で地上軍の役割をし、「銃弾避け」となった。内戦で死亡したクルド族は数万人にのぼるという。米国は少なくとも彼らに負い目があるのだ。

トランプ政権が公式にシリアを離れる意思を明らかにしたため、ロシア、トルコ、イランなど戦争に積極的に参加した国家は、米国の空白を埋める努力を強化するだろう。その最初の目標は、米国という盾を失ったクルド人の領土に対する統制権を狙って争いになることは火を見るより明らかだ。クルド人が守ってきたシリア北東部の地域は、ガスの埋立地と肥沃な土地が集まり、「有用なシリア(useful Syria)」と呼ばれる。

トランプ氏は当選初期、米陸軍4つ星将軍だったジャック・キーン氏を国防長官候補に考えた。キーン氏はニューヨークのトランプタワーでトランプ氏に会い、長官になることを固持し、このような助言を残したという。

「国内で起こった失敗はやり直すことができます。しかし国家の安全保障問題においてやり直せることはできません。失敗すれば途方もない結果になります行動しても、あるいは行動しなくても、世界の一部を不安定にし、途方もない問題を起こす可能性があります」

同盟と相談なく下したトランプ氏の「シリアからの米軍撤退」の決定が2019年の中東情勢を揺るがす「失敗」になるかは見守らなければならないことだ。しかし、中東の米国の同盟国は、「使い古した履物」のように捨てられたという裏切りの思いを抱いて新年を始めることになった。


徐東一 dong@donga.com