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金東兗氏が渡した封筒

Posted November. 21, 2018 08:26,   

Updated November. 21, 2018 08:26

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分厚かった。

2014年7月、雨が降るある水曜日の午後、政府ソウル庁舎。ワシントン特派員の発令を受け、挨拶のために訪れると、金東兗(キム・ドンヨン)国務調整室長(当時)が封筒を一つ差し出した。A4の大きさだった。「私の宝物だ。後で見てほしい」と言って、にっこり笑った。そして自身がワシントン勤務時代に経験したエピソードを聞かせた。

しかし、話が耳に入らなかった。封筒の中身が気になった。知り合って長いことを考えると、これまで公開できなかった特ダネの資料でも入っているのかと思った。承諾を受けて封を開けた。中には、自分が数年間メディアなどに書いたコラムの写本が入っていた。「経済官僚ではなく人間金東兗の文」と言った。自分が撮った花の写真をUSBメモリーに入れて周囲に渡す朴炳元(パク・ビョンウォン)前経済人総連会長(元大統領経済首席)以外にこのような形で自分を伝える公職者は初めてだった。新鮮だったが当惑もした。

読んでみると、実際に演劇、文化、教育など多彩な分野について書かれていた。政治家が出馬する前に出す随筆集よりはレベルが高かった。ともかく金氏を「模範的」経済公務員の枠だけで解釈することはできないと思われた。

近く退く金東兗経済副首相兼企画財政部長官とのエピソードが思い出されたのは、金氏が新たに論議の中心にいるからだ。今度は政治だ。早くも2020年の総選挙の話が出ている。野党「自由韓国党」のラブコールは露骨だ。鄭鎮碩(チョン・ジンソク)議員は「2016年のセヌリ党時代の非常対策委員長に迎えようとした」と述べた。与党「共に民主党」でも金氏の故郷(忠清北道)を中心に、野党に対抗するためにも迎えなければならないという話が出ている。さらに地元では、潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長、安熙正(アン・ヒジョン)前忠清南道(チュンチョンナムド)知事が相次いで消えたことで姿を消した「忠清待望論」を金氏が蘇らせなければならないという多少性急な声まで聞こえる。

金氏は最近、記者団に対して、「政治には何の思いもない」と首を横に振った。しかし、光化門(クァンファムン)と汝矣島(ヨウィド)でこれをそのとおりに受け入れる人はいない。なぜか。金氏はコラムの封筒のように公職者というプリズムだけで見るには複雑な人物だからだ。ある官僚は、「自己愛がある。よく言えば動機付与が強い」と話した。「キム&チャン」で騒々しかった時、大統領府の周辺で「金東兗が自分の政治をしている」という話が出たのもこのような脈絡だったのだろう。さらに独特の2つの「政治的ブランド」のため、金氏は長く政治参加を悩むと記者は見る。

 

一つは、「土のさじ」ブランド。商業高校、夜間大学を経て副首相まで続く神話は食傷ぎみではあるが、依然として魅力的なストーリーラインだ。今、政界には名前だけで思い浮かぶほどのストーリーはもはや見当たらない。「盧武鉉(ノ・ムヒョン)の遺業を継ぐ」文在寅(ムン・ジェイン)大統領が唯一だ。

もう一つは、「キム&チャン」時代から付いて回る革新成長ブランド。来年の経済も憂鬱なら、今後政界の核心アジェンダは経済、中でも所得主導成長が論議になる可能性が高い。野党が2020年の総選挙で「所得主導成長審判論」を掲げるには、その対称点に立つ金氏ほどの先鋒はいない。逆に「共に民主党」の立場では、金氏を迎え入れれば「所得主導成長リスク」を減らすことができる。

金氏が政治に情熱を傾けるかどうかは全面的に彼の選択だ。与野党で話が尽きないため、悩みは簡単には終わらないだろう。しかし、味見をするだけなら最初から足を踏み入れない方がいい。特に政治入門20日で下車した故郷の先輩、潘基文氏と同じ行動はしない方がいいだろう。ただでさえ国民の政治的冷笑はすでに蔓延している。


李承憲 ddr@donga.com