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大国手

Posted November. 07, 2018 07:21,   

Updated November. 07, 2018 07:22

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米中間選挙に対する関心が今年ほど高い時があっただろうか。有権者の93%が「大統領選以上に重要」と評価(CBS放送)し、世界の耳目が集まっている。6日(現地時間)に行われた選挙は、上院100人中35人、下院435人全員を選ぶが、核心はトランプ米大統領に対する中間評価、すなわち執権2年に対する「審判」だ。結果によって残された任期と再選の運命が分かれ、米朝関係や米中貿易戦争といった国際問題も影響を受けるほかない。

トランプ氏も中間選挙を自分に対する国民投票と宣言し、応援に総力を傾けた。今回の勝負も、大統領選の時の薬効を利用した「恐怖と怒り」の刺激戦略だった。相手を批判して弱点を攻撃することは選挙運動の基本公式だというが、トランプ氏は歴代の大統領と違った。「こちらとあちら」程度ではなく、「私たちの側でなければ敵」というフレームで支持層を固め、民主党と批判的メディアを悪魔化して分裂と葛藤を煽った。

問題は、支持層の敵がい心と忠誠を刺激する発言が真実と程遠いことだ。米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏はこの7週間、事実と違ったり誤解の素地がある主張を1419件も乱発した。一日平均30件、信じようが信じまいが言葉の爆弾を落としたのだ。早くからこの方面の専門家だったトランプ氏が、任期序盤9ヵ月の間に一日5件ほど炸裂させたことに照らして、どれほど選挙に死活をかけたかがうかがえる。にもかかわらず堂々と述べる。「私は皆さんにファクトを語る唯一の人」と。

合っていようが合っていまいが、トランプ氏の発言に支持者たちは熱狂し、敵と同志の溝がさらに深まる。ショービジネスの達人は、幻想と事実の区分をそれほど気にしない自国民の習性を看破した。政治が娯楽に墜落した米国で、トランプ氏は偽りと幻想で作動するファンタジー産業の頂点に立っているというのが、『ファンタジーランド』を書いた文化評論家、カート・アンダーセン氏の指摘だ。対外政策のホットイシューであるイラン制裁を宣言し、大統領が人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」をパロディ化した自分の写真を背景に「制裁が迫っている」というメッセージをツイートするのがその例だ。個人の主観的意見と感情を注入する扇動が簡単に効き、信念と異なれば客観的な事実に目を閉じる大衆たちから成る幻想の共同体。ファンタジーと現実がごちゃ混ぜになったところに理性と合理が足を踏み入れることができるだろうか。米政治が回復不能状態に向かっているという嘆きと不安の声が内部から出ている理由だ。

これが単に米国に限定された現象ではなく世界に広まっているということが問題だ。包容、統合より嫌悪、排他主義の極端主張とポピュリズムが勢力を伸ばしている。中道リーダーシップを代表するドイツのメルケル首相が退陣を予告したことも、ハンガリー、オーストリア、イタリアで極右政党が浮上していることも、尋常ではない。ファンタジーランドが米国を越えてファンタジーヨーロッパ、ひいてはファンタジーワールドに広がっているのか。

「今や国民は一つに団結して共に進まなければならない。私から国民の大統領になることを約束する」。トランプ氏は当選確定直後このように話し、反対者に支援を請い、国を統合すると公言した。この言葉は空言になり、統合どころか亀裂が加速している状況だ。自己検証ではなく無誤謬を確信する指導者、理性的討論の場所が狭まる社会が米国だけだろうか。

韓国のファンタジー状況はどうか。「今日から私はすべての国民の大統領になります」。トランプ氏より4月後に文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任演説で誓った。その約束に対する自己評価が、トランプ氏の中間評価同様、気になる。南北軍事合意の「セルフ批准」や所得主導型成長に首をかしげる国民の意見に耳を傾けているのだろうか。「皆の大統領」であることを証明する責任は大統領自身にある。新たな経済指令塔の人選がその信号になるかも知れない。

「(トランプ政権が終わっても)国が元の状態に回復できるか分からない」。米国の現代文学の巨匠、ドン・デリーロ氏(82)が最近インタビューで言った展望だ。共同体を支えるバランス感覚と様式は一度壊れれば修復することが難しいという元老の直感だろう。トランプ氏の目に映った今日の米国はこうだ。「毎日あふれる大統領ニュースの洪水の中で、トランプ氏の失敗はすべて24時間以内に消える。全国民の記憶が持続するのはせいぜい48時間だ」。良い指導者を作るのは結局は国民のようだ。


mskoh119@donga.com