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包装の達人

Posted November. 01, 2018 08:12,   

Updated November. 01, 2018 08:12

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学問や技術、物事の理に精通して、人並み外れて優れた人を達人と呼ぶ。環境設置美術家夫婦のクリストとジャンヌ=クロードは包みの達人だ。彼らは古いオイル缶でも、家具でも、さらに官公庁建物や人里離れた島でもすべてのものを包んでしまう独歩的な技で世界的な名声を手にした。

1935年6月13日、クリストとジャンヌ=クロードは、それぞれブルガリアとモロッコで運命のように同じ日に生まれた。1958年にパリで初めて会った後、二人はずっと一緒に仕事をし、米国に移住後は、歴史的な場所を包む巨大なプロジェクトを企画して大きな注目を集めた。これには400年の歴史を持つパリのポンヌフ橋、ドイツ帝国主義の象徴であるドイツ国会議事堂、リゾート地マイアミの十一の島なども含まれる。夫婦の包装芸術は、長くは数十年がかかった行政当局との長い交渉の結果でもあった。2005年にニューヨーク・セントラルパークに設置された「ザ・ゲーツ」は、ニューヨーク市と25年以上も交渉した末に実現させたニューヨーク市最大規模のパブリックアートだった。

2016年の夏、イタリア北部のイセオ湖に設置した「浮き橋」も1970年に出たアイデアを46年ぶりに実現したプロジェクトだった。スルツァーノ村から始まってモンテ・イーゾラを経てサン・パオロ島までを結ぶ計3キロの長さの水の上に浮いた遊歩道だった。22万個の高密度ポリエチレンキューブを結合して作った歩道は、10万平方メートルの黄色い布包で包んだ。静かだった田舎の湖の風景を一夜に変えたこの特別な浮き橋を歩くために、16日間120万人が訪れた。その年の世界最多観客を記録した展示だった。

外部から支援を受けないクリストは、200億ウォンにのぼる今回のプロジェクトの費用も、自分の作品の販売で賄った。展示が終わった後、使われたすべての材料も完全に回収されてリサイクルされた。少数の金持ちのコレクタではなく、皆のために開かれた芸術を作り、リサイクルで仕上げる夫婦こそ、芸術の意味と理に精通した真の芸術の達人ではないか。

美術評論家