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崩壊した力

Posted August. 27, 2018 08:28,   

Updated August. 27, 2018 08:28

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「未来を予知する力そして支配する力として科学をあがめるベーコン以来の伝統は、一方で我々から畏れ敬う気持ちを非科学的だとして奪ってしまったのではないだろうか。もし自然が本当に我々のものであり、自然に対し我々が命令を下し支配できると考えるとしたら、それは自然を侮辱していると言えよう。力は最後には崩壊する」 ―スチュアート・カウフマン『自己組織化と進化の論理』

今年は類例のない暑さだった。人類が気候変動との戦いで負けたという絶望的な診断まで出ている。このような異常気象が今年だけで終わりはしないだろう。大気中に温室効果ガスである二酸化炭素の濃度が減らないならの話だ。動物が呼吸する時に作られる二酸化炭素は、植物や藻類の光合成によって再活用される。そのおかげで、長年地球の二酸化炭素の濃度は一定に保たれてきた。しかし、人類が自然を「我がものとして命令するように」なった後、より正確に言えば産業革命が始まった後、私たちは化石燃料を思う存分使い、生命体だった炭素を二酸化炭素に急激に転換させている。その結果、今夏、私たちはあの「崩壊した力」の威力を世界的に確認した。

 

もはや元通りにするには手遅れと嘆く人も少なくないのが現実だが、今私たちに切実なのはまさに「自然に対する畏れ敬う気持ち」を回復することだ。17世紀の英国の哲学者フランシス・ベーコンが言った「予知し支配する力」に対して反省的に再考しなければならない人類世的時代になったのだ。逆説的にも『自己組織化と進化の論理』は、条件だけ与えられるなら、生命の出現は当然だと説明する一方、終わりに向かって突き進む人類が混沌の中心にいることも暗示する。地球には人間だけが生きているのではない。私たちとともに21世紀の地球に住む生命体の高貴さへの認識が、人間に対する尊重と共になければならない。