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先端IT都市の逆説

Posted June. 05, 2018 08:47,   

Updated June. 05, 2018 08:47

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米ニューヨークのような大都市では、割合高い賃金をもらっても、購買力が落ちる。世界各地から人々が詰めかけているので、ニューヨーカーは高価な家賃はもとより、高い生活物価に耐えなければならない。ハーバード大学のエド・グレイザー教授が米大都市を調査した結果、都市規模が2倍に膨らむたびに賃金は10%上昇したが、物価は16%ずつ上昇したという。

◆1979年、マイクロソフト(MS)の創業者ビル・ゲイツがニューメキシコ州アルバカーキにあった会社を故郷のシアトルで移したことで、この都市の運命も変わった。IT専門家たちが集まり、ベンチャー企業が生まれて、雇用も数十万件が創出された。しかし最近、IT流通企業アマゾンの職員が4万人まで増えると、既存の地元住民の不満が爆発した。住宅価格が5年前に比べ75%も高騰し、同期間ホームレスも35%増えた。結局、シアトル議会は、大企業は今後、従業員一人を雇用すると、275ドルの税金を払わなければならないという条例まで作った。

◆IT業界の本拠地シリコンバレーの失業率は2.5%と低い。平均所得も13万1000ドルで、米平均の2倍に迫る。住宅価格もカリフォルニアの他の地域より2倍以上も高いので、キャンピングカーに住みながら周辺の公衆トイレを利用する人たちも少なくない。IT専門家1人が雇われれば、通常5人の雇用派生効果を産むが、その多くが年収数億レベルのパワープレイヤーのために奉仕する最低賃金水準の雇用であり、このような二極化が生じた。かつてデトロイトでは、自動車工場が進出すると、地元住民を雇用したので、地域経済が一緒に成長した。しかし、全世界のIT人材を吸収して成長したシリコンバレーの成長方式は、従来の企業の落水効果に疑問を提起する。

◆韓国では先月末、全羅北道群山(チョンラブクド・クンサン)で労働者1800人と協力会社の従業員1万人の生活を担ってきた韓国GM工場が閉鎖されたことで、落水効果自体が消えている。苦痛を訴えるシアトルやシリコンバレーの住民にはすまないことだが、IT企業の生態系が作り出した落水効果の副作用を心配する米国の姿さえ、私たちには幸せな悩みに映る。