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何も描かれなかった名画

Posted April. 05, 2018 08:41,   

Updated April. 05, 2018 08:41

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美術の講義は特性上、スライド資料がなければ不可能だ。しかし、イヴ・クラインの青色の絵画は例外だ。キャンパスには何も描かれず、青く塗られただけの絵。それで説明は終わりだ。「IKB」という暗号のような題名は何なのか。鑑賞者を困らせる絵だが、数百億ウォンの値がつく名作だ。これほどになれば「いったいなぜ」という思いが自然に起こる。

フランス・ニース生まれのクラインは、両親がいずれも画家だったが、一度も正規の美術教育を受けたことがなかった。19歳で彼は友人とともに南フランスの海辺に寝転び、「青い空は私の初の美術作品だ」と言ってどこかにサインをしたという。むろん、空のどこにどのようにサインをしたのか分からないが、クラインはその後、青い絵を描く画家になった。彼にとって青は空の色であり、精神的な色であり、完全な自由を与える色であった。

1949年、初めてモノクロームの絵画を完成させたクラインは、その後もニースの海辺で見た空の色にこだわった。ゴールドやピンク、赤や黄など別の色も試したが、1957年から青が彼のトレードマークのカラーになった。60年にクラインは自分だけの青色のインクを開発し「IKB (International Klein Blue)」という名前で特許まで取った。こうして作られた「精神的な」青色はキャンパスに塗られ、200点近いIKB絵画を誕生させた。作品名の後の番号は、クラインの死後、彼の妻がつけたものである。

クラインのこのような実験は、当時の画壇では新鮮な衝撃であり、新しい美術の時代を予告するものであった。何も描かずにただ一色で絵を完成させることで、「絵を描く」という人類の長年の観念と「対象の再現」という美術の伝統を覆した。このように美術の歴史は枠を破る思考と大胆な実行力を持つ芸術家が作り出す。それゆえクラインの青い絵は非常に不親切だが偉大である。

美術評論家