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金正恩の「遅れた後悔」

Posted April. 04, 2018 08:21,   

Updated April. 04, 2018 08:21

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1日、韓国側芸術団の平壌(ピョンヤン)公演で、歌手の崔辰煕(チェ・ジンヒ)が歌った「遅れた後悔」が、北朝鮮側から歌ってほしいと直接要請された曲であることが公開され、話題となった。金正恩(キム・ジョンウン)労働団委員長が崔辰煕に対して、「あの歌を歌ってくれてありがとう」とあいさつをしたという。この歌は、兄妹デュオ「ヒョンイとトギ」の1985年に発表した曲だ。同じアルバムに収録されたヒット曲「君は私が好き、私は君が好き」に葬られた曲なので、崔辰煕も「どんな歌か知らなかったし、なぜ私の歌でもないのに歌わなければならないのか知らなかった」と話した。この歌は、3日、発表から33年ぶりにとある音源サイトでリアルタイムの人気チャートでトップについた。

◆ユン・サン訪朝芸術団長は、「北朝鮮で人気の曲だ」と紹介した。発表時期や発表当時にあまり人気を得られなかった曲という点を考慮すると、30代の金委員長より、金正日(キム・ジョンイル)前総書記の愛唱曲であるという分析もある。金正日は日本の歌「道連れ」が好きだったし、崔辰煕の「愛の迷路」をよく歌ったということぐらいは知られているが、「遅れた後悔」も好きだったかは知られていなかった。

◆金前委員長の父である金日成(キム・イルソン)前主席は、「歌は革命勝利の象徴であり、歌声が高くてこそ国が栄える」と語った。しかし、いざ彼が歌う姿はほとんど公開されなかった。2015年、北朝鮮の朝鮮中央テレビが彼の生前に「思鄕歌」を歌う場面を放送したことが、ほぼ唯一である。1929年に彼が中国で作ったと言われている歌である。

◆金正恩の実兄である金正哲(キム・ジョンチョル)は、エリック・クラプトンのファンとしてよく知られているが、金正恩の音楽の好みは明らかになったことがない。しかし、「窓の外に降る雨水の音に心が寂しくなるよ、今、私のそばには誰もいませんから」という歌詞から、誰も信じられない独裁者の孤独のようなものが感じられたといえば、行き過ぎた飛躍だろうか。3代世襲で閉鎖された全体主義国家を受け継いだ彼が 「遅れた後悔」を残さないことを望む。