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人生は自分だけの物語を作る過程

Posted February. 27, 2018 08:55,   

Updated February. 27, 2018 08:55

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松科の常に青い大きな木であるモミは、乳木とも呼ばれるが、幹から乳白色の液が出てきたので付けられた名前である。1527年の崔世珍(チェ・セジン)の「訓蒙字會」と1820年ごろの柳僖の「物名攷」などでは、モミを檜で表現した。慶尚北道星州郡(キョンサンブクド・ソンジュグン)の檜淵書院は、モミを檜で表現した代表的事例である。朝鮮中期の文臣、寒岡・鄭逑(チョン・グ、1543〜1620)を祀る檜淵書院のように、性理学の象徴木をモミに使用した事例は非常に稀である。鄭逑が弟子を教えた慶尚北道金泉市大徳面加禮里(キムチョンシ・デドクミョン・ガレリ)の石谷(ソクゴク)書堂の前にも凛とした姿の二本のモミがある。

モミは、ケヤキとともに韓国の伝統文化を理解する上で、非常に重要な木である。モミは材質がよく、昔から建築材、特に柱材として多く使用された。慶尚南道陜川郡海印寺(キョンサンナムド・ハブチョングン・へインサ)にある八万大蔵経の板を保管している修多羅藏、慶尚南道梁山市(ヤンサンシ)の通度寺(トンドサ)と全羅南道康津郡(チョンラナムド・カンジングン)にある無爲寺(ムウィサ)の柱の一部もモミである。韓国全域にはモミが多いが、特に寺院では美しいモミの森に会うことができる。その中でも江原五台山(カンウォン・オデサン)にある月精寺(ウォルジョンサ)入口のモミの森は、全国で最も有名である。月精寺のモミの森は、谷と一緒に会うことができるので、より一層美しい。私はとある早春の夜明けに一人で雪を踏みながらモミの林道を歩いた思い出を忘れない。全羅北道扶安郡(チョンラブクド・プアングン)の楞枷山(ヌンガサン)にある来蘇寺(ネソサ)入口のモミの森も、来蘇寺大雄殿の花狭間と同じくらい美しい。

韓国のモミは松、ケヤキ、イチョウ、榎木などと共に神木である。慶尚南道陜川郡伽耶山(カヤサン)にある海印寺の「学士台のモミ」(天然記念物第541号)は、新羅時代の翰林學士出身の孤雲・崔致遠(チェ・チウォン)が植えたという伝説を持つ木である。これは彼が伽耶山で神仙になったという伝説とも無縁ではない。崔致遠に関連したモミの伝説は、単に木の神霊感を現わすことに止まらず、木と人間の生態を最もよく示している。特に学士台のモミは、崔致遠の存在を理解する上でも非常に重要な木である。学士台のモミは、後世の人たちの崔致遠への最高の賛辞であるからだ。海印寺紅流洞(ホンリュドン)近くの学士堂の前にも崔致遠を称えるモミがある。このように、崔致遠の人生は木と一緒に受け継がれている。しかし、誰よりも自分だけの物語を大事にしなければならない。自分だけの物語こそ、最も美しい歴史であるからだ。